ロングビーチGPより軽量化エアロスクリーンが登場






今週末に開催されるロングビーチGPより、軽量化された新型エアロスクリーンの装着が義務付けされます。

安全性向上の革命的なアイテムとして2020年から導入された初期型のエアロスクリーンは、レッドブルアドバンスドテクノロジー、ダラーラ、パンクルレーシングシステム、エアロダインコンポジット、PPG、イソクリマ、インディカーによって開発されました。チタンとカーボン製のフレームにポリカーボネート製のスクリーンを組み合わせた重量は約27㎏。垂直方向で約11トンの荷重に耐え、時速354キロで水平発射された1kgの物体を跳ね返します。

そして、この週末からはさらに軽量化されたエアロスクリーンVer.2が使用されます。

軽量化と共に開口部(エアインテイク)を設けることでコクピット内の冷却性能も向上。これまで以上にドライバーの体に風が当たるようになり、エアロスクリーンの内側に装着されるダクトもドライバーの負傷を防ぐためにこれまでのカーボン製から3Dプリンターで成形されたゴム製の物に変わります。

インディカーシリーズの空力開発ディレクターを務めるティノ・ベリーは「バージョン2.0導入の目的はまずは軽量化。そして、スタイリングの向上と通気性の改善でした。軽量化に関しては強度を保ったままでポリカーボネートのスクリーンの厚さを今まで以上に薄くすることで対応しました」とコメント。

新たなエアロスクリーンは、外観がより洗練され、重量も初期型バージョンの約8.5kgから約6.6kgに軽量化されました。今シーズンの開幕戦からすでに導入されている新設計の3Dプリントのチタン製エアロスクリーンフレームはこれまでと同様の強度を維持したままで重量は約3kg軽量化されています。これらエアロスクリーン全体の重量では約5kg軽量化されることになります。

レースカーのダウンフォースはエアロスクリーンの軽量化と新たな形状によって約16kg減少しました。

2020年にエアロスクリーンが導入された時から熱対策は大きな課題で、インディカーから様々な意見を取り入れて熱対策の改良に取り組んできました。一般的にレーシングドライバーはレース中の心拍数は毎分150から200にもなり、そのレベルは限界値の85~95%に相当します。レーシングスーツを着た中では体温は37度以上にもなることがあります。

エアロスクリーンの軽量化にあたって、エアインテイクの数や面積を増やすことは当初は障害になると思われていましたが、ドライバーへの調査によって初期型のエアロスクリーンには十分すぎるほどの視界があることが判明し、スクリーンのトップにあるチタン製フレームの下にエアインテイクを設置しても視界にはほとんど影響がないことが判明しました。この結果、大きな設計変更を必要とせずに軽量化とエアインテイクの増設を行うことができています。

エアインテイクにはハニカム構造のメッシュと追加フィルターでダストなどの侵入を防ぎます。

当初はこの軽量エアロスクリーンは5月のインディアナポリスGPから導入される予定でしたが、十分に供給体制が整ったとして前倒しで導入されることになりました。



軽量エアロスクリーン




初期型エアロスクリーン

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