インディカーで使用されるシャシーは2012年にデビューしたIR12(DW12)をベースとし、現在使用されているモノコックタブはオリジナルのIR12を後付けアップデートしたものと、最初からエアロスクリーンの搭載に対応したIR18の2種類が混在しています。
とかく設計が古いだの、使い古されたような表現を見かけますが、毎年細かな所でアップデートが続けられています。2024シーズンの主なアップデート箇所を確認します。
【エアロスクリーン】
ハイブリッド・パワーユニット(PU)の搭載で重量が増えるため、軽量化されたウインドスクリーンとチタン製フレームを導入。スクリーンは約8.5kgから約6.6kgに軽量化。チタン製エアロスクリーンフレームはこれまでと同様の強度を維持したままで重量は約3kg軽量化されています。これらでエアロスクリーン全体の重量では約5kg軽量化。チタン製フレームは従来の台座をそのまま流用して取り付け可能で、フロントの左右一か所ずつ計2か所のボルトのみ従来より長いものが使用されます。
【マグネシウム製ベルハウジングとギアボックスケース】
ハイブリッドPUの搭載による重量増を相殺するために、ベルハウジングとXトラック製ギアボックスケースがアルミニウム合金製からマグネシウム製に変更されます。これによって35ポンド(約18㎏)の減量が見込まれています。
【スーパースピードウェイ用リアウイングピラー】
インディアナポリスでのリアウイングのメインプレーン(主翼)の最大迎え角が+5度から+9度にレギュレーション変更されたことに伴い、リアウイングピラーが変更されます。調整角度は+9度からー1.5度になります。
【センターラインウィッカー】
レースカーがスピンして進行方向の横を向いた時にレースカーの浮き上がり防止を目的としたダウンフォースを発生させるセンターラインウィッカーがエアロスクリーン上では不要になります。コンピューターシミュレーションで解析をやり直した結果、効果は小さいとしてノーズ部分以外は不要になりました。これに伴い。エアロスクリーンへつながる部分の形状も変更されました。
【新型フロントベアリング保持プレート、新型リアアップライト、べアリング保持プレート、ドライブシャフト保持プレート】
昨年のインディ500でカイルカークウッドの後輪がクラッシュによってハブごとアップライトから抜けてコース外へ飛んで行ったアクシデントを受けて、その後のオーバルレース用に対策パーツがリリースされましたが、2024シーズンからはさらに新たなオーバル用リアアップライトとフロントベアリング保持プレート、リアベアリング保持プレート、ドライブシャフト保持プレートが導入され、ホイールの脱落などを防ぎます。
ハブはホイールが取り付けられて共に回転し、アップライトはブレーキキャリバーなどが取り付けられて回転はしません。ハブとアップライトの間にはベアリングが挿入されてベアリング保持プレートがハブの脱落を防止しています。
【ECUデータダウンロードコネクター】
プラクティスセッション中や終了後にECU(エンジンコントロールユニット)からデータをダウンロードするためのデータケーブルのコネクターがコクピット内側の左側から、左側サイドポッドに移されました。