シリーズ最長ロードアメリカでのセットアップ






シリーズ第8戦はシーズン最長のロードコースのロードアメリカが舞台。1周は4.014マイル(6.5km)で起伏にとんだ14のターン(左6、右8)で構成されるコースを時計回りに走ります。

今回は、アンドレッティオートスポーツで、#27カイル・カークウッドのレースエンジニアを担当するジェレミー・マイルズにロードアメリカでのレースカーセッティングについて質問します。マイルズは2017年から2022年までアレクサンダー・ロッシのエンジニアを担当。過去7回のロードアメリカでのレースで1勝を挙げたほか、3回の表彰台、ポールポジションを1回獲得しています。

【ロードアメリカへ向けての事前準備は?】
事前準備は他のコースとあまり変わりません。このトラックは、ラップタイムを稼ぐためダウンフォースを少なくするかトリムする数少ないトラックの一つです。あえて違いを言うならばこの一点です。

【ロードアメリカで一般的に求められる特性は?】
今年は今までとは違う対応が迫られます。オフシーズンにトラックが全面的に再舗装されたからです。すでに新しいトラックのデータで7ポストリグ(振動シミュレーター)でテストを行いましたが、路面は驚くほどスムーズで、今年は今までとはかなり異なった状況になると思います。これまでのデータや戦略は今年は通用しない可能性もあるので、どうなるかわからない部分がかなりあります。今週末はこれまでにない大胆な変更を行う覚悟が必要かもしれませんし、事前シミュレーションで得たデータがどこまで正確なのかを見極める必要もあります。

【ほかのロードコースとの共通点はありますか?】
ここは他のコースとはだいぶ異なっています。他のほとんどのサーキットで、比較的一般的なロードコースのセットアップを使用していますが、ロードアメリカは他のサーキットとは少し異なります。カルーセル(ターン9-10)の旋回時間が非常に長く、それに続くストレートも非常に長いので、ここでのセットアップは特定のコーナーの最適化に向けられる傾向があります。

【再舗装はレースカーセッティングにどのような影響を及ぼしますか?】
これまでにタイヤテストとチームテストを事前に行いましたが、最も重要なことはできるだけ早くタイヤを適温にすることだと思います。タイヤテストでは、タイヤを適温にするためにはかなりの時間を要したので、予選では時間内に十分に温まりきらない可能性があります。トラック上にラバーが乗っていけば状況は良くなっていきますが、今週末のカギは、フロントタイヤとリアタイヤを同時に適温にすることができるかどうかです。

【タイヤ温度に関しては再舗装以前から問題でしたか?】
そうですね。気温に大きな影響を受けます。このトラックは長いストレートが多いのでなかなかタイヤが温まらず、タイヤグリップがすぐに向上しません。フルタンクでは15周しか走行しないのですが、1周ではタイヤが温まり切りません。一方、デトロイトのようなトラックでは、フルタンクで30周を周回します。つまり、ロードアメリカでは路面にラバーがなかなか乗らないことにもなります。

【新しい舗装路面に対してどのような対策をしますか?】
現時点では、トラックコンディションの変化が不確定で、従来のデータを使える可能性がありますが、新しい舗装路面に対して最適なバランスを見つける必要があるかもしれません。フロントタイヤとリアタイヤを同時に最適な作動温度にできるかも不明です。そこを早く把握しなければなりません。レースウイークエンドででは金曜日の最初のセッションで結果を見て、その日の夜に夜に分析するしかないと思います。だだし、レースウイークエンドでは各セッションの時間が非常に短く、タイヤの使用本数も限られるので、決勝レースまでに試すことが可能なセットアップのチェックは4〜5回しか行えません。なので、どのような状況にも対応できるように、計画をあらかじめ決定して準備をすすめる必要があります。実際に起こりえる大まかなプランをたてて、何が起こった場合の対応策などを示した対策マニュアルを作成しておくことが必要です。その対策マニュアルを準備しておき、与えられた状況に応じて適切に対応していくことがカギになります。

【ロードアメリカでのセットアップでトリッキーな部分は?】
そどのレーストラックでもラップタイムをあげるためには、妥協点を見つける必要があります。高速コーナーでのタイムアップを重要視し、そこでのベストバランスを追求し続けた場合は低速コーナーを妥協しなければなりません。しかし、ロードアメリカでは低速と中速のコーナーが最も重要なエリアなので、ここに焦点を当てる必要があります。

【新しい路面の影響は?】
ラップタイムがかなり速くなったと思います。

【トラックレコードは更新されると思いますか?】
100%更新されるでしょう。驚くべきことに、今のレースカーは、記録が更新された時のレースカーよりも13kgも重く、パワーは300馬力も少なくなっているということです。つまり、コーナリングスピードは当時のチャンプカーと比べて非常に速いということを意味しています。

【2019年にロッシは29秒も引き離して優勝しましたが、その時のセットはヒントになりますか?】
参考にはしますが、うまくいく保証がありません。我々は次の年にまったく同じセットアップを試してみましたが、予選は9位で、決勝は接触があってDNFでしたが、狙えてもTOP10がせいぜいでした。まったく同じスペックのタイヤでも、微妙に差が出てしまいます。なので、タイヤスペックに変更があれば大きな変更が余儀なくされます。

【ロードアメリカGPは6月18日深夜2時から生中継】
第8戦ロードアメリカ・グランプリはGAORA SPORTS他、配信プラットフォームで
6/18日曜日深夜2時(月曜早朝)から生中継!
https://gaora.co.jp/motor/3652800https://gaora.co.jp/bros/https://skyperfectv.co.jp

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