バーバーでのレースセットアップ






シリーズ第4戦アラバマGPが開催されるバーバーモータースポーツパークは、1周2.3マイル(3.8㎞)で高低差は24m。トラックレコードは2021年にパト・オワードが予選で記録した1:05.5019。

この自然の地形を生かした起伏に富んだレーストラックの攻略法をエド・カーペンタ―レーシングのエンジニアでリナス・ビーケイを担当するマット・バーンズにレースカーのセッティングのポイントについて伺います。







【バーバーへ向けての事前準備は?】
バーバー・モータースポーツパークには多くの課題があります。まず第一に、高速コーナーやブラインドコーナーがあります。そのため、高速ターンでの安定性と低速でタイトなターン(ターン5)とのバランスをとることが、おそらく最大の課題です。そのようなレースカーにしないとドライバーが自信を持ってコーナーを攻めることができません

【バーバーでの基本セッティングは?】
ベースセッティングが非常に大事でレースカーは基本的に硬い脚周りになります。高速域は空力でバランスを取り、低速域ではメカニカルグリップでバランスを取るようにします。原則的にレースカーのハンドリングバランスはメカニカルグリップでバランスを取ると同時に、高速セクションでは空力でバランスを取ることで、低速セクションと高速セクションの2面性の特徴を持つレーストラックにレースカーを対応させることになります。

【癖のある場所はどこですか?】
ターン9は非常に難しいです。おそらくシーズン全体を見てもあそこは特殊です。下り坂なのでレースカーはが長い間空中に浮いている状況になります。下り坂のシケイン形状なので、縁石に乗り上げたり、減速しながら曲がったりすると同時に、タイヤは跳ね上げられていると思います。そして、その間はタイヤが浮いている時間がかなりあるので、そこを如何にアジャストして足が動いて路面を捉えるようにするかが重要になります。

【低速域、高速域、高低差でいかにバランスを取りますか】
全体的なハンドリングバランスをとるにしても、セッションごとに路面コンディションが大きく変化するため、非常に難しいです。

【気温や路面温度の変化に感度が大きい?】
そうですね。快晴と雲がある晴れの日ではだいぶ違います。朝のセッションは湿度が高く露もあって非常に滑りやすいですが、日が高くなると同時にグリップがよくなっていきます。なので1日を通していいバランスを維持することは非常に難しいですね。

【レース中のフルスティントでのバランス変化は?】
去年は、スティント中にトラックコンディションがほぼ一定でした。レース中はハンドリングバランスをうまく維持することができたと思います。しかし、予選では新品タイヤは2周がいいところでしょう。その後はバランスがかなり変化します。そのため、本当に最初のラップに合わせて車を調整しなければなりません。2周目と3周目は大きくバランスが変わっていくと思います。なので、予選は1周目でベストが出るようにして、2周目以降ではうまく合わせていくしかありません。

【メカニカルグリップと空力のバランスはどうしますか?】
どちらか1つを選んで合わせこまなければならないと思います。他方は妥協しなければなりません。もし高速コーナーを重視する場合は、低速コーナーでのメカニカルグリップを犠牲にしなければなりません。その逆もあります。

【ラップタイムを上げるにはどちらが大事ですか?】
ラップタイムを出すには、高速コーナーではドライバーの腕でレースカーをねじ伏せることができますが、低速コーナーでのメカニカルグリップはセッティングでバランスを取るしかありません。低速セクションでのロスの方がラップタイムに大きく影響します。

【今週末のバーバーでは新たなトライはありますか?】
今年はハードタイヤの仕様が変わるため、それが大きな要因になると思います。2年前に使われたのと同じタイヤになります。主要なタイヤが変更されました。そして、バージボードが今年は使用可能になっているため、昨年とは特性が変化するでしょう。


【その結果、何が変わりますか?】
まだわかりません。ダウンフォースが増加することは確かです。

【空力的なバランスはどうなりますか?】
車体全体的にダウンフォースが増加し、車高に影響を与えると思います。

【今年は車高を上げる必要がありますか?】
そうですね。車高の調整が去年と比べて最も大きな変化だと思います。

【温度変化と路面変化とどちらの影響が大きいですか?】
温度に大きく影響される傾向があります。トラックエボリューションも影響はしますが、温度変化ほどではありません。あるていどまで行くと路面にはタイヤラバーが増えてきますが、温度が上昇すると逆に滑りやすくなっています。週末の最後のセッションで路面温度が50度近くにもなり、朝のセッションが路面温度が16度くらいだった場合は、朝の方がラップタイムはいいと思います。2020年に再舗装されてからは、非常にグリップがよくなりました。以降は路面ラバーが乗るよりも低い気温が影響を及ぼすことが大きいです。

【勝利へ向けては何が大事ですか?】
できるだけアンダーステアを少なくしてニュートラルステアなレースカーにすることが重要です。ドライバーによっては弱アンダーステアを好む人がいますが、リナスはニュートラルステアを好みます。2015年にニューガーデンがエドカーペンターレーシングから参戦して、バーバーで優勝した時もニュートラルステアなレースカーでした。スペンサー・ピゴットもニュートラルステアを好み、2019年の予選ではFAST6に残っています。ここではリナスにとって、レースカーがニュートラルステアであることが最も重要だと思います。




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