インディアナポリスでセーフティーチームによる合同訓練を実施






現地、4月22日から23日にかけて、インディアナポリス・モータースピードウェイ(IMS)でインディカー、IMSA、NASCARの各セーフチームが2日間の合同訓練を行いました。

中西部エリアの8つの州から約200人の救急スタッフと医療関係者たちが、モータースポーツの現場での専門的な活動に関する訓練に参加。1日目はIMSのメディアセンターで講習会が開かれ、状況に応じた対応方法やお互いの連携などの習熟が行われました。

翌日は手袋を着装し、サイレンが鳴り響く中で、IMSのスーパースピードウェイとロードコース内に6か所でアクシデントが再現され、参加者は以下の対応に当たる訓練を行いまました。

■ピットレーンでの火災発生による火傷もしくは負傷した要救助者への対応
■横転車両からの要救助者の救出
■ホルマトロ製油圧救助資機材を使用した救出訓練
■タイヤバリアの修復、復旧作業
■インディカー・セーフティビークルを使用した訓練
■火災発生時の消火活動
■IMSAセーフティビークルを使用した訓練

今回の訓練にはインディカーとIMSのメディカルディレクターであるジュリア・ヴァイザーも参加し、各方面から参加したスタッフと意見交換を行い、「このような機会が設けられたのは初めてのことで、IMSAには専属のセーフティチームがあり、NASCARもセーフティチームがありますが、それぞれ3つの組織がそれぞれ異なる運営方法のもとで活動を行ってきた中で、それぞれの組織から来た参加者が自身の知識や情報を他からの参加者たちと共有できる素晴らしい機会になりました。」

「例えば、インディカーとIMSA、NASCARでは、それぞれ異なる通話コードがあります。インディカーでは『イエロー、イエロー、イエロー』ですが、IMSAや、NASCARでは違う言い方かもしれません。ペースカーとは?チェイスカーとは?ドクターカーとは?通話コード『1200』の意味は?通話コード『99』の意味は?それぞれのシリーズでは独自の通話コードなどが使用されています。しかし今後は活動をよりスムーズに連携させるためには通話コードなどが共通化されることが重要かもしれません」とコメントしています。

IMSAでトラックサービスマネージャーを務めるロイ・スピルマンは、各レーストラックの地元参加のセーフティスタッフが各シリーズの微妙なオペレーションや手順の違いを理解することの重要性を主張しています。また、それぞれのシリーズ間においても、お互いに組織や作業方法に関して知っていおくことが重要であると述べています。

IMSAではセーフティビークルに2台のポルシェ・カイエンと2台のシボレー・シルバラードトラックを使用しています。スピルマンとチームのメンバーは1台目のカイエンに乗り込み、2台目にはチームのメンバーとトラックの医師が搭乗します。シルバラードにはそれぞれ3人のチームメンバーが搭乗し、救助資機材や消火資機材を搭載しています。IMSAは各レーストラックでの地元採用スタッフを除いて、全部で9人もしくは10人のメンバーで構成されています。

IMSAは9月にIMSでレースを開催する予定で、プロトタイプカーがIMSで走るのは初めてになります。現行のGTPカーはハイブリッドカーですが、今回の訓練ではGTPカーをここに持ってくることができず、去年のDPiカーを訓練用車両として使用しました。レースカーのコックピットやボディワークはほぼ同じなので、現行のGTP車両とまったく同じ状況で訓練を行うことができます。他にはGTDのランボルギーニ1台が持ちこまれました。

「IMSではGTPカーは走行したことが無いので、IMSのスタッフにはレースカーに慣れてもらう必要があります。今回の訓練を実施した成果が9月にIMSでレースをする際に出ると思います。今回はスタッフにプロトタイプカーに慣れてもらうにはいい機会になりました」とIMSAのスピルマンは訓練実施の意義を語っています。

インディカシリーズでトラックセーフティーおよびメディカルサービスのシニアディレクターを務めるティム・バーグマンによれば、過去50年間に比べて過去5年間では救急救命活動に関するネットワークがより進展していると述べています。

「我々は、メジャーなレースシリーズが開催されるレーストラックだけでなく、あらゆる施設でモータースポーツの現場の安全性を向上させることを目標としています。今回の訓練にはエルドラや他のショートトラックからのスタッフも来ています。彼らは地元のショートトラックだけではなく、IMSでのメジャーイベントでもスタッフとして参加しています。なので彼らは今回の訓練で経験した緊急対応、緊急医療、消防、レッカーなどを地元のレーストラックでも今後も生かしていくことができます」「それぞれのシリーズは全く違ったタイプのレースカーを、それぞれ違った燃料で走らせています。しかもレースカー絶えず進化し変化していっています。なので、今後も継続的に訓練を行うことで、しっかりと対応していく必要があります」とバーグマンは述べています。

NASCARのトラックサービスコーディネーターを務めるマーク・ネルソンや、IMSにほど近いクレアモントにあるルーカスオイル・レースウェイのオペレーション担当者も、モータースポーツの縁場での安全性を最大限に向上させるためは、各シリーズが互いに学ぶことが重要であると考えています。

IMSのイベントおよびトラックオペレーションのシニアディレクターのジェイソン・ペニックスによれば、今回のトレーニングプログラムの作成に約6か月を要し、そしてAMRとIU Healthのサポートもあって、インディカーとIMSAとNASCARによる合同訓練の成果は非常に大きなものになったと認識しています。

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