48周目のイエローで各車は51周目にピットインしましたが、その時にピットアウトしようとしたアレクサンダー・ロッシとピットインしようとしたカイル・カークウッドが接触。カークウッドは順位を落とすことなくピットアウトしたものの、ロッシは右フロントサスペンションを破損してピットで修理。5周遅れの27位でコースに復帰したものの、62周目にドライブスルーペナルティを受けて6周遅れの27位となりました。
結局、ロッシは7周遅れの23位フィニッシュに終わっています。
当初、ロッシへのドライブスルーペナルティは「アンセーフリリース（安全ではないピットアウト）」が理由でしたが、その後に「ピットレーンでの接触（Contact in Pit Lane）」に変更されました。
実際に両車の動きを見ると、ロッシの4つ先のピットボックスへ向かうカークウッドはファストレーン（一番右レーン）から一気に進路を変えてピットボックスに向かっていますが、これはロッシへピットアウトを指示するストラテジストのブライアン・バーンハートからはカークウッドがピットインしてくることが予見できない動きでした。
現地、NBCで解説をしていた元インディカードライバーのジェイムス・ヒンチクリフはカークウッドに100%の非があって、カークウッドがドライブスルーペナルティを受けるだろうとコメント。しかし、実際にペナルティが課せられたのはロッシでした。
ロッシサイドもこの裁定に納得がいかない様子でしたが、ペナルティ理由は「アンセーフリリース」から「ピットレーンでの接触」へ変更されるだけにとどまりました。
ルール上はピットインしてくる車両はピットアウトする車両に対して優先するのが原則で、ルール上はカークウッドには非が無いことになりますが、もう少し手前より進路を変更してファストレーンの左側に当たるトランジッションレーンへ進路を取り、ピットインする意思表示を明確に見せておけば、ロッシへのピットアウト指示は遅らされた可能性もあります。
ピットインとピットアウトに関してペナルティを課せられる場合は以下の通りです。
7.11. ピット安全違反
7.11.1. 以下の事象の場合、もしくはインディカーによって判断された場合、その車はペナルティが課せられることがある。
7.11.1.1. ピットレーン（加速レーン、減速レーン、トラジッションレーン、ピット出口コミットライン）での加速、減速、ピットレーンでのイン・アウトにおける指定された手順を怠った場合。
7.11.1.2 割り当てられたピットボックスから、エアホース、燃料ホース、工具、または他の装備が自車に取り付けられたまま、あるいはレースカーからぶら下がったままピットアウトしようとした場合。
7.11.1.3. 自車が自分自身のエアホース、燃料ホース、またはその他の装備の上を通過、もしくはくぐり抜けることにより、安全上の問題が発生し、他車の進行を妨げた場合。
7.11.1.4. 自車が他車のエアホース、燃料ホース、またはその他の装備の上を通過、もしくはくぐり抜けることにより、安全上の問題が発生し、自車のピットストップに影響を与え、他車の進行を妨げた場合。
7.11.1.5. 自車がピットボックスにイン・アウトする際に自車のピット装備に接触し、安全上の問題を引き起こし、ピット装備が割り当てられたピットボックスから離れたり、他の車両の進行を妨げたりした場合。
7.11.1.6. 他の車両のピット装備に接触し、安全上の問題を引き起こし、その車両のピットストップに影響を与えたり、他の車両の進行を妨げたりした場合。
7.11.1.7. 他車と接触した場合。
7.11.1.8. ピットクルー他への接触、もしくは装備への衝突し、接触した装備がピットクルー他へ接触した場合。
7.11.1.9. あらかじめ指定されたピットボックス以外に進入した場合。
7.11.1.10. ピットボックスから安全にピットアウトさせなかった場合。
7.11.1.11. ピットクルーが、ルール18.1.17.および、ルール18.1.18.で定められた適切な服装を着用していない場合。ただし、ルール7.10.4.5.で定められたエアロスクリーン専任者を除く。
7.11.1.12. 競技中にピットウォールのトラック側に6人を超えるピットクルーがいる場合。ルール7.10.4.5で定められたエアロスクリーン専任者を除く。
7.11.2. ルール10.2.1.で定められた場合を除き、このルール7.11の違反に対するペナルティは、再審査または控訴されないものとする。
10.2.1. 競技中に関するペナルティは、失格、停止、執行猶予、1万ドル以上の罰金、1万ドル以下の罰金、またはポイント罰金を除き、再審査や控訴されないものとする。