ヘンリー・ボック先生が逝去



モータースポーツ界での安全技術と医療技術の権威で、長らくインディアナポリスモータースピードウェイ(IMS)とインディカーのメディカル部門でシニアディレクターを務めてきたヘンリー・ボック先生が5月26日にインディアナポリスで亡くなりました。81歳でした。

ボック先生はメソジスト病院とシドニー&ルイス・エスケナジー病院で救急医療の専門医として勤め、1982年から2006年までIMSのシニアメディカルディレクターを担当。それと同時に1996年から2006年までインディカーシリーズの全戦に帯同し、2007年以降もIMSとインディカーの医療コンサルタントを務めてきました。

ボック先生はこれまでに多くのドライバーを診察し、そのレースでの医療活動はインディカーシリーズにとどまらず、北米でのモータースポーツの医療体制にに革新的な変化をもたらしました。

その功績の一つがSEFARバリアー(衝撃吸収バリアー)で、2002年にIMSに設置されて以来、ツインリンクもてぎを含む全米のオーバルトラックで導入され、クラッシュでのリスクが劇的に改善されました。

ボック先生はインディアナ大学医学部の出身で、レースでの医療活動の原点は1979年に公開されたポール・ニューマン主演の「レーサー(Winning)」がIMSで撮影される際に医療スタッフとして従事したことに始まります。

大学卒業後の1970年にインディアナポリスのメソジスト病院に就職。救急医療を担当し、1979年に設立されたヘリコプターによって救急患者を搬送するLifeLine Air Medical Transport Service の設立に尽力しました。
1970年代後半にはUSACのチャンプカーシリーズにIMSのアシスタントドクターとして帯同するようになり、以来、IMSで医療スタッフを担当するようになりました。

合わせて長らくモータースポーツ界での医療体制と安全技術向上を目指す、国際モータースポーツ科学学会のメンバーを務めてきています。

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