思い切ってダウンフォースを削減してみれば
JRヒルデブランドがインディカーでのダウンフォース(DF)に関する興味深い記事(3部作)を寄稿して以下のように考察しています。
http://www.indycar.com/News/2016/06/06-22-Voices-Hildebrand-downforce-pt1 要約すると以下の通りです。
■インディカーでのエアロダイナミクスの影響は大きい
ウイングの装着が許可された1972年、インディ500でのトラックレコードは178.7 mph から195.9 mphへ一気にスピードアップ。これが空力パーツ追及のすべてのストーリーの始まり。
■DFに関する基礎知識
①DFは速度の二乗で増加する。
②速度が2倍になればDF(ドラッグ=空気抵抗も)は4倍に増える。
■ロードコースにおけるDF
もともと従来よりもハイダウンフォースで設計されているIR-12に対してさらに新型エアロを装着したため、現状のインディカーは巨大なDFを発生している。
■F1よりも大きいDF
インディカーは200mph(322kph)で約7000ポンド(3175㎏)のDFを発生する。これは現在のF1レギュレーションよりも大きく、100mph(160kph)でもインディカーの車重をを超える1600ポンドを発生する。
■現状では稼いだDFを捨てている状態
現状の新型エアロ装着状態では9000ポンド(4082kg)ものDFを発生してしまうが、インディカーがレギュレーションによってアンダートンネルのストレーキやサイドウォールなどアンダーボディーのエアロパーツの使用を制限して増やしたはずのDFを逆に削減しているのが現状。
■軒並みトラックレコードを更新
新型エアロ2年目の今年、ロングビーチ以外のすべてのロードストリートコースのトラックレコードが塗り替えられた。そのほとんどレコードは去年塗り替えられたにもかかわらず。
■今後もDF量の増大は続く
レギュレーションでの規制がない限りDF量は増え続ける。現行規則ではそれがタイムアップへ最も効果的だから。安全性に支障を及ぼさない限りはそうなるのがインディカーでのごく自然流れてある。
■現状のレースカーはDFが多すぎる
豊富なDFはレースカーの安定性を増加させる。その結果レースカーは操縦しやすいものとなるが、DFに頼らなければレースカーの操縦性は難しいものになりレースはより面白いものになる。
■DFを4割削減させた場合
たとえばソノマレースウェイにてDFを 6500ポンドから4000まで約4割削減した場合、DFばかりではなくドラッグ(空気抵抗)も同等削減される。それは80年代のインディカーもしくは現在のNASCARカップカーと同等のDF量になる。その結果、すべてのコーナーリングスピードは5mph~10mph(16kph)程さがり、高速コーナーほどその速度は大きく下がる。ブレーキング距離は最大30mほど増加する。ストレート速度は13kphほど増加するがラップタイムは2秒遅くなる。
■2秒のラップタイムダウンを取り戻すには
エンジンパワーを現行の700馬力から950馬力ほどアップさせる必要がある。
■2秒のラップタイムダウンはひどい結果をもたらすのか?
そんなにひどい結果にはならない。
次回はショートオーバルにおけるDFとドラッグの関係についてJRが考察します。
コーナーリング速度の高さはバトルに結びつかないどころかストレート速度を低くしてブレーキングバトルを減少させるというわけです。ソノマでの2秒ダウンがどれほどレースをつまらなくさせるかと言えばほとんど影響ないということ。
つまり数秒のタイムアップがレースに面白さをもたらすかと言えばそうではなく、高いコーナーリング速度はかえって弊害をもたらすことがあるということです。
JR(とECRのエンジニア)は非常に鋭い考察をしていますね。
コーナーリング速度が「F1よりも速い」ということは”魅せるレース”とは逆方向なのではないかと思わされます。小倉さん、いかがでしょうか?
というわけではなく、タイヤ、車重という要素もありますから。一方的なDRSに頼るよりP2Pのほうが良いですし。まだより魅せるレースだと思っています。
http://blog.gaora.co.jp/indy/2015/11/15456 私はダウンフォースがないシルバークラウンとかのレースは大好きなんですけどね。
余談ですが、日本のレースだと、旧型よりダウンフォース量を減らしました。これでも新型はF1よりコーナリング速度が速く、バトルができるようになりました。その後わずか1シーズンのうちにチームは空力性能を高めました。そこで、ガーニーなど空力デバイスに歯止めもかかっています。
完璧ではないけど、より良い方向を目指しているのは同じだと思います。アメリカも日本も。
そこで、”高いコーナーリング速度”をウリにしているレースにつながりました。
健康優良児だったタイヤから変わった部分でも期待したいところです。
indycar.comがJRヒルデブランドにこのような記事をを書かせて掲載することが興味深いです。
何か手を打つ一歩手前なのかもしれません。
コース上での順位変動を以前にカウントしたところ中継映像に写っている範囲で36回ありました。
ノーコーションのレースでオープニングラップを除いた周回でです。
それでもTV観戦者には”少ない”と見えてしまうわけです。
TV観戦者への見せ方というのは難しいものです。
日本のレースファン(特にSGTファン)にはオリベイラ選手やロシター選手のようなアグレッシブに抜きに行くドライバーがなぜか嫌われます
琢磨選手も日本人じゃなかったらボロボロに言われているでしょう
かといってパッシングが無いと面白くないと言われる始末…
それともレースメディアの執拗な批判で”嫌う空気”が醸成されてしまうのかわかりませんが
いずれにせよJPやロシターは世界標準だと思います。
彼らはオフェンシブでもありますがディフェンシブでもあると思います。
そういう部分で琢磨選手は海外でも圧倒されることなく渡り合えるのだと思います。
私はシェクターやトレイシーのようなアグレッシブなドライバーは好きですが
現地でファンに嫌われているとは聞いたことがありません。
日本のドライバーの多くが消極的だから…?