2019シーズン開幕戦まで1か月を切った。セントピーターズバーグの市街地でのコース設営作業も大詰めに入っていることだろう。
公式ツイッターは以下のようなツイートを出している。
– 20 million pound of concrete
– 40,000 feet of fencing
– 12,000 tires
– 1 great partnership with the city of St. Pete
Can’t thank everyone involved enough – Kim Green Co-Owner, Chairman and CEO of Green Savoree Racing Promotions pic.twitter.com/Uikf3o1pzj
— GPSTPETE (@GPSTPETE) 2019年2月8日
9000トンを超えるコンクリートブロック。
総延長12キロメートルを超えるフェンス。
12000本のタイヤ。
セントピーターズバーグ市との良好な協力関係。
これらは1周60秒、2.9キロのコースを設営するのに必要な資材の数だ。
さらには消防法に適合したグランドスタンドの設営や場内放送の為の配線作業、案内看板、仮設トイレの設置などの作業も必要になる。
仮設スグランドスタンド設営の資材や場内放送のための通信ケーブルやスピーカーなども膨大な数に上がる。
さて、
市街地コース設営の準備にはどれくらいの日数がかかるのか。
セントピーターズバーグのケースでは準備期間に90日以上。現状回復に60日以上を要するという。つまり、設営開始から撤収終了までほぼ5か月を要する。
工事期間中は会場周辺道路の通行規制や敷地の入場規制も必要になる。そのための広大な資材置き場の確保や警備も必要だ。
F1世界選手権のモナコGPでも開催3か月以上も前となる2月の初旬から準備作業はすでに始まっていた。
一方でF1世界選手権のシンガポールGPは開催1か月経過後もこの状態であった。シンガポールGPはフロントストレートのグランドスタンドも仮設で、大会終了後には解体されて、来年にまた設営しなおされる。
レーシングコースとして使用される路面も、実は道路そのままの状態でレースを開催するのではなく、レースカーの強力なパワーを受け止めるように別舗装が施されている。
上の写真はセントピーターズバーグのターン3。舗装の色が違っているのがよくわかる。
F1世界選手権のシンガポールGPでも、レーストラックは別舗装。
上の写真ではターン7。完全に別舗装でGoogle Earthからでもその様子は確認できる。
しかもその舗装は定期的に補修され、F1モナコGPではほぼ毎年舗装しなおされている。
新たに舗装しなおされた部分はアスファルトの色が濃いうえにペイントが無いのではっきりとわかる。
さらにはモナコでは通常はターン1のど真ん中に大きなひょうたん型の植込みがあって、きれいに芝生が貼られた上に花が生けられて、レースカーのスタチューが飾られている。この植込みはかなり大きいが、レース開催中はすべてがきれいに撤去される。
Google Earthのタイムシフトでこの植込みの有無の様子がよくわかる。ストリートビューにするとちょうど植込みの復元作業を行っている。
他にもモナコではピットロード出口とレーストラックの段差を埋める舗装工事を毎年行っているためにメインストレートからターン1までは毎年再舗装されているようだ。
セントピーターズバーグでもバドックエリアとして使われる駐車場からピットエリアとして使われるローカル空港の敷地への導線には歩道の段差があるが、これも毎年舗装が施されてフラットに工事されている。
レーストラックの管理でもこれほどの手間がかかるうえに、そのコースの周囲には9000個ものトンブロックが置かれて、さらには総延長12キロものフェンスが設置される。
そのフェンスにはコーションライトやPAスピーカーなどが設置されてそれぞれがケーブルで接続される。
もちろん仮設トイレなどの設置数もすさまじい数になる。レースコースを跨ぐ歩道橋も複数必要で、さらにはバリアフリー対策も必要だ。
その設置から撤去までを5か月間かけて行うという気の遠くなる作業が毎年行われている。
さらには、ボランティアスタッフの募集、管理、コースマーシャルなどのレース進行スタッフ(アメリカでは主にSCCAが担当)の招集、訓練などの人的リソースの確保の他、セーフティビークルの準備と管理なども無くてはならない。
オートスポーツNo.1498に「東京五輪後に実現するか?フォーミュラE東京ePrix」と言う記事があった。
記名記事ではなかったが、その中に「”東京マラソンはできても自動車レースはできない”最大の要因(特有の障壁)は「騒音」と「排ガス」に帰結していた。」とあった。(オートスポーツNo.1498 3ページより)
専門誌の記者が「マラソン」と「自動車レース開催」の違いを、その程度としか認識していないのかと愕然とした。
同時にフォーミュラE東京ePrixの開催もかなり先になりそうだとも大きく確信した。
私はモナコもシンガポールもセントピートも工事中に現場に行ってみたことがあるのですが
工事作業はどこもかなり大がかりです。
指摘しても大半直さないし。
市街地レース、見る目が変わります。
マラソンと自動車レースではその準備に大きな違いがあります。
騒音が出ないからと言って簡単だというのは大間違いです。
ストリートレースは費用以上に解決すべきことがたくさんあると思います。
騒音も軍用飛行機よりマシだし、封鎖も公道よりはしやすいだろうなんて考えてましたが、そんなに甘くないですね
航空機の音はピーク値にしてもほんの数十秒で終わりますが
レーシングカーの騒音は途切れることなく数時間続きます。
この差は比較にならないほど大きいです。