テキサス600の要点をあらためて解説します



動きがなさそうで動きのたくさんあったテキサスでの600キロレースですが、その動きを振り返ってみましょう。

【Eカーペンターが急浮上した理由】 100周を過ぎたあたりで急にリーダーに上がってきたような印象ですが、Eカーペンターは最初のスティントでタイヤにブリスターができてしまったために、最初から早めのタイヤ交換でピットストップのタイミングをつないできました。2度目のピットインは89周目でラップリーダーだったWパワーの2回目のピットインよりも13周も早いものでした。

スティントを引っ張ったWパワーは80周あたりから多数の周回遅れに引っかかって大きくペースダウンしています。102周目の2度目のピットストップ前の速度の落ち込みは大きく、すでに13周前にタイヤ交換をしたEカーペンターはWパワーよりも10マイル近く速い速度でその13周を走ったことになります。
これで、Eカーペンターは一気にリーダーに浮上しました。

【ペナルティでWパワーがラップダウンしなかった理由】 213周目のアンダーグリーンでのピットインでスピード違反を犯したWパワーは次の周ですぐにピットスルーしてペナルティを消化しました。アンダーグリーンで2周連続ピットインしたにもかかわらず、リードラップ最下位の6位で戻っています。最初のルーティンピットインの時点ですでに3位だったJPモントーヤとは1周以上の差がり、ピットアウトした時点でも3位のTカナーンには24秒もの差がありました。

なので、そこからもう1回ピットストップしてもその貯金のおかげでリーダーのEカーペンターから23秒遅れ、つまりEカーペンターにラップダウンされるギリギリ前でコースに戻れました。
今回もLTのトラックマップが不調で、放送中は位置関係把握に苦労しました。

【ウイングをつける】 松浦選手や武藤選手が何気なく言っていますが、「ウイングをつける」とか「ウイングを足す(add wing)」というのはフロントウイングの角度を立てるということです。逆に角度をねかすことを「ウイングをとる(take wing)」と言います。ナイトレースは日が暮れると気温が下がって、徐々に空気密度が高くなってくるのでフロントウイングのダウンフォースが相対的に増加して、レースカーのバランスがルーズ(オーバーステア)、つまりリアタイヤのグリップがフロントよりも弱くなります。そこで、ピットインの時にフロントウイングの角度を寝かせることによって、相対的にリアとのダウンフォースのバランスをとってるわけです。
ただし、フロントウイングを寝かせすぎると今度はバックマーカーに追いついたときにハンドリングが不安定になってしまうので、WパワーやJPモントーヤは最後のピットストップでは「ウイングを足して」いました。
【ホンダエンジンのトラブル】 武藤選手が言っていたように「タービンのトラブル」つまり「ターボのトラブル」です。今シーズンからはホンダはツインターボエンジンなので、ターボチャージャーのタービンは左右に一つずつあります。タービンは超高温の排気ガスを受けて回転し、その回転でエンジンに空気を送り込んでいますが、オンボード映像にあったように排気管が真っ赤になるほどに熱を持ちます。

それを冷やすのは冷却水ではなくてオイルなのですが、ターボチャージャーのタービン、もしくは回転軸が何らかの理由で破損するとその冷却のオイルに火がついて盛大に炎と煙を吹き出します。今回はマルコも琢磨選手も両方の排気管から炎が出ていたので両側のターボチャージャーが壊れたことになりますが、原因はなんだったのでしょうか。

今回は少しネタに走りすぎてしまったかなと反省。

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