現地2月15日にフロリダ州のセブリングインターナショナルレースウェイで各チームによるオフシーズンテストが実施され、佐藤琢磨選手をはじめとする6チーム14台が開幕前最後となる実車テストを行いました。
佐藤琢磨選手はすでに何回かシカゴ近郊にあるチームファクトリーでチームスタッフと打ちあわせを行ったものの、インディカーの実車走行は昨年の最終戦以来となります。
「久しぶりに乗ったので、新チームと言うことで不安半分、期待半分でした。エンジニアのドン・ブリッカーとは初めて一緒に走らせることになったので色々すり合わせながらでしたが、30年のキャリアがあって非常にデータに強いのと非常に穏やかな感じの人で、お互いの波長がイイ感じで合ってきています。ラップタイムは全然気にせずに今やるべきことをやって開幕戦に備えたいと思います」と琢磨選手はコメント。
現地は朝から強風で砂埃が多い中で開始されて、午前中はAJフォイトエンタープライズのルーキー、カイル・カークウッドが記録した52.2868がファステスト。佐藤琢磨選手は52.8801を記録。
14日は8チーム17人がテストを行い、最速はアンドレッティオートスポーツのコルトン・ハータの51.851でした。
15日午後は1時から6時までセッションが受けられて、琢磨選手は5周をルーティンとするチェック走行を繰り返してトータル81周を走行し、10周目の52.8029が自己ベストとなっています。このセッションの最速は52.1135のシモン・パジェノー。カストロネベスが続いてメイヤーシャンクレーシングの1-2。ディフェンディングチャンピオンのアレックス・パロウは52.3775でした。
各車は規定された限られたタイヤセット数の中で、それぞれがテストプログラムをこなし、ニュータイヤ交換のタイミングで予選シミュレーションをしたり、P2Pをテストしたりする場合があるのでラップタイムを単純に比較して評価することに大きな意味がありません。
琢磨選手の担当エンジニアのドン・ブリッカーはインディカーの世界では30年以上ものキャリアを積むベテランで、タスマンモータースポーツのインディライツ担当エンジニアからキャリアをスタート。そのタスマン在籍中の1997年にはカナーンとエリオのチームメイト同士チャンピオン争いとなっています。その後はフォーサイス、シグマオートスポーツ、コンクェスト、パンサー、KVレーシングでキャリを積み、デイルコインレーシングには復帰と言う形で5シーズン目を迎えます。
昨年はシミュレーションのデータ解析などを行うファクトリーでのデータエンジニアを担当してトラックエンジニアをサポートしてきましたが、今年はトラックエンジニアに復帰します。
「琢磨選手は非常にプロフェッショナルだというのが第一印象です。一緒に走るのは今日が初めてですが、事前準備をしっかり行ってきたり、レースカーに関する知識も豊富です。技術的な知識があるのもすごくやりやすいです。彼はインディ500で2勝もしているので、我々も彼から学ぶことが多いと思いますが、今シーズンが非常に楽しみですね」とブリッカーはコメントしています。
チームオーナーのデイル・コインは「今年は開幕までに1日しかテスト走行ができないというイレギュラーな状況ですが、いいテストができていて、明日はきっちりとシミュレーターテストを行う予定です。F1出身で、すでにインディ500で2勝もしている琢磨選手のキャリアは申し分なく、インディ500はあと2勝は行けると思いますよ。当然我々の、目標はそこです。その彼が我々のレースカーでどこまでやってくれるかが楽しみです。」と琢磨選手の加入に大きな期待を寄せています。
テストでの琢磨選手のインタビューなどは2月20日日曜日23時から放送の「開幕直前!インディカー・シリーズ2022」でお伝えします。
「開幕直前!インディカー・シリーズ2022」 2月20日(日) 23:00 ~ 24:00
コメンタリー:村田晴郎、天野雅彦、ロジャー安川