デトロイト市街地コースでのレースカーセッティング






今回初開催となるデトロイト市街地コースは1周1.65マイル=2.65キロでターン数は9。インディカーシリーズ史上最短のレーストラックになります。

今回は第107回インディ500でサンティーノ・フェルッチを3位に導いたAJフォイトのエンジニアのダニエレ・クッチャローニにデトロイト市街地コースでのレースカーセッティングのキーポイントを伺います。

【レースカーに施す事前準備は?】
新設のレーストラックに対しては、3つの重要な要素があります。まずはシミュレーターでの準備とです。可能な限りレーストラックの形質の把握に努めます。例えばGoogle Earthを使用して地図を作成ししますが、これはかなり役立ちます。コンクリートウォールを配置する場所やレーストラックの正確なコース幅などはわかりませんが、だいたいの速度域などを把握することができます。ゼネラルモータースのジム・オルソンからも様々な支援を受け、コースレイアウトの理解を深めることに努めてます。これで事前評価を行い、適切なギア比やセットアップの基本コンセプトを決定することができます。
新設のレーストラックに直面する際のもう一つの重要な面は不確定要素です。同じセットアップで複数台数を走らせずになるべく多くのことを試して不確定要素をなくしていく必要があります。マルチカー体制のチームはより有利で、データ収集と学習プロセスを加速させることができます。新設のレーストラックへの対処でもう一つ言えることは対応時間です。限られた時間内にあらゆることに対して迅速に反応する必要があります。データ解析後やタイヤ解析後にはデータをできるだけ早く処理し、次のセッションに備えるための適切な指示と作業をする必要があります。

【足回りの特性は?】
レースカーに求められるスプリングの特性をすぐに把握することは困難です。トラックのレイアウトに90度コーナーがあるために、急激な舵角変化や車体の急旋回があるからです。走行前にはこれらの状況を把握することができません。実際のレーストラックの舗装状況や路面の凹凸の具合はわかりません。他のレーストラックでは、路面表面のレーザースキャン情報などのデータがあるためにを、各レーストラックの路面状況を完全に把握することができます。新設のレーストラックでは、路面の詳細状態がわからないため、スプリングは現場で見極めることになります。基本的には、ロングビーチのような平均的なストリートレースで予想されるものの中間を基準に始めます。ナッシュビルのように非常に荒れている場合もあれば、セントピートのように比較的スムーズな場合もあるので、判断は難しいところです。重要なことは、現場で迅速に把握することです。リアルタイムで非常に迅速にデータ解析を行い、ツールを駆使してすべてのデータに基づいて迅速に対応ができるように準備しておくことです。

【空力セッティングに関してはどうですか?】
例えば、どれだけアンダーウィングを正しく機能させることができるかはレースカーの車高で決まります。平均的な車高からスタートする予定ですが、ナッシュビルのように空力よりもメカニカルセッティングに重点を置く場所になるか、またはセントピーターズバーグのように空力の方が重要な場所になのかはわかりません。実際に走ってみるまでは、アンダーウィングを有効に機能させることができるかどうかがわかりません。なので、ライドハイト(車高)に関して、メカニカルセッティングととエアロのバランスを確立するのは少し難しいです。私たちはデータに基づいた対応方法を持っているので。最初の走行後にはしっかり対応できるでしょう。そして、先ほど言ったようにマルチカー体制では、それぞれ別のセッティングを試すこともできます。それぞれのレースカーで異なる剛性レベルで走らせれば、エアロに重点を置いたレースカーとメカニカルグリップに重点を置いたレースカーとを使い分けて、早く対応することができます。実際には方向性を見つけ出すまではある程度の試行錯誤があるかもしれません。

【今回のコースの特徴は?】
長いストレートエンドをどうするかが重要でしょうね。ストレートは長く、その前後のコーナーは非常にタイトで低速なので、エアロの影響を受けにくいです。おそらく大集団が形成され、そのままストレートエンドに飛び込んで多くのパッシングが発生すると思います。かなりエキサイティングな動きとレースになるでしょう。また、デュアルピットレーンについては、インディカーは正しい選択をしたと思います。現場の敷地を見ると、十分な広さはありません。ピットレーンを2つに分割するという選択をしたのは正しいと思います。左右のどちらかにわずかでも優位性があるかどうかを確認するのは重要です。

【コースの下見は重要ですね?】
そうですね。でも、私たちはすでにこの数週間で写真やネットで路面を確認していて、すでにアイデアを持っています。しかし、もちろん、トラックウォークは非常に重要です。なぜなら、初めて正確にトラックレイアウトを確認出来て、ウォールなどの位置を確認することができるからです。トラックリミットを自分の目で確認できる最初で最後の機会でもあります。なので、トラックウォークでは他のストリートサーキットよりも時間をかけて行うことになると思います。

コメントを残す