インディ500を制し頂点に上り詰めたエリクソン


marcus ericsson-Borg- Warner-Trophy




スウェーデン出身のマーカス・エリクソンは2022年第106回インディアナポリス500を制し、その名と”顔”を歴史に刻みました。







2022シーズンでインディカー参戦4年目を迎えたエリクソンは、最初の2シーズンでは30レースでわずか10周のラップリードを記録。表彰台には1回しか乗りませんでした。シュミットピーターソンから参戦したデビューイヤーはランキング17位で終えたものの、翌年にはトップチームのチップガナッシレーシングに移籍しランキング12位となっています。



オーバルレース未経験だったエリクソンはインディ500でも苦戦。最初の2回のレースではそれぞれ23位と32位で、2年目はたった25周でターン2でクラッシュしてレースを終えるなど、全く目立ったシーンもありませんでした。



「インディカーシリーズを過小評価していたわけではありませんが、もっと早く成果が出せると思っていました。最初の2年はかなり苦労しました。特に初年度は苦しみました。2年目も少しは良くなるかと思いましたが、きびしいチャレンジの連続でした」とF1世界選手権に5年間参戦してインディカーに来たエリクソンはコメントしています。



32歳のエリクソンはインディカーのベテランたちの活躍ぶりを見て、経験の重要性を認識。しかしF1キャリアでの97レースの経験はインディカーシリーズではすぐに役立つことにはなりませんでした。



「やはりこのシリーズに10年20年出ている選手たちはレースカーやレーストラックに関する経験量が違います。一朝一夕ではとても太刀打ちできません」



エリクソンに転機が訪れたのは参戦3年目となる2021年第8戦のデトロイトGP。予選15位ながらもラップリードを記録し、レースリーダーだったウィル・パワーのトラブルでの後退がありながらも、その後のスプリントレースでは後続を押さえきって初優勝。その後のナッシュビルのストリートレースではレース序盤に追突して宙を舞い、その修理もあって最後尾まで後退したものの、そこからポジションを挽回してシーズン2勝目をあげました。



今シーズンはレビュー後2シーズンの5倍となる37周のラップリードを記録。ついには”世界最大のレース”であるインディ500を制し、6つのレースイベントでポイントをリードして、チャンピオン争いに最終戦まで加わりました。2014年から2020年までの7シーズンで全く未勝利と言う状況と比較し、この2年間は共にポイントで6位にランクインするなど、かなり内容の濃いシーズンともなりました。



「F1参戦時代には地元スウェーデンから多くのサポートを受けてきましたが、インディカー参戦となった時にそれまでのサポートが受けられるのかどうかわからない状況でした。最初は苦労しましたが、渡米して3年目4年目になって、この常に接戦が展開されるインディカーシリーズで上位に食い込めるようになりました。インディ500で優勝してからはスウェーデン国内でもいろいろなメディアが大きく報道してくれるようになり、インディカーのことが頻繁に話題になるようになりました。まさかこんなに変わるとは思いませんでした」とエリクソンは母国での注目がどんどん大きくなっていっていることに驚きを隠せません。



この後、エリクソンのインディ500優勝をたたえて優勝トロフィーのボルグワーナートロフィーはエリクソンと共にスウェーデンのの首都のストックホルムとエリクソンの地元であるクムラを凱旋する予定になっています。



ボルグワーナートロフィーがアメリカ国外に持ち出されるのは、これが4回目。2017年には佐藤琢磨選手がインディ500を制してトロフィー建造後80年で史上初めてアメリカを出国。2018年には英国で開催されるモータースポーツの祭典であるグッドウッドフェスティバルオブスピードの25周年を記念として渡英。2019年にはフランス人ドライバーのシモン・パジェノーのインディ500優勝を祝福してパリに凱旋しています。

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