インディカーシリーズ、西へ






通常のレースではスタートからフィニッシュまでの速さを競いますが、今月インディカーと各チームはこれまでにないチャレンジが強いられます。



インディカーシリーズはラスト3レースを3週間連続で西海岸エリアで開催します。インディアナポリス他、東部エリアに拠点を置く各チームにとって、この西海岸3連戦は大きなチャレンジになります。



通常では連戦であっても、チームは拠点となるインディアナポリスなどのチームショップに一旦戻ってレースカーの分解整備や事前準備などを行い、次の開催地へと移動します。しかし、拠点から距離的に大きく離れた西部各州での連戦では拠点に戻らずに転戦することを余儀なくされます。



かつてはシーズン終盤で「ソノマとフォンタナ」、「バンクーバーとラグナセカ」の西海岸2連戦はありましたが、西部3週連続3連戦は過去にないツアーとなります。



チーム、エンジンマニュファクチュアラー、パーツサプライヤー、そしてインディカースタッフは如何に効率よく3週間で3か所を周るか、工夫を凝らさなければなりません。



インディアナポリスを拠点とし、ファイアストンタイヤの輸送を担っている「パフォーマンスタイヤサービス」は2台のトレーラーで3レースのそれぞれに700本以上のタイヤを輸送するほかに、さらに3台のトレーラーを加えて多くの資材を転戦中に輸送します。そして、ほとんどのスタッフは長距離移動と時差移動を避けるためにそのまま戻らずに転戦します。



さらに、ポートランドでは降雨の可能性も低くないために、レインタイヤの準備も必要になります。カリフォルニアでの2レースにおいても雨が降らないという保証はありません。



インディアナポリスが拠点のダラーラUSAはクラッシュ発生時に必要となるスペアパーツの準備に余念がありません。ロードコースのポートランドとラグナセカではその需要はフロントウイングに集中しますが、ストリートコースのロングビーチではその他のスペアパーツの準備が必要になります。



それらのパーツはトラックで輸送されるほか、一部は空輸されます。前回のゲートウェイでの13戦終了後からポートランドへの出発までの間に、ラスト3戦への部品の輸送準備の他にチームから注文が入っているパーツの配送も事前に完了させなければなりません。



各チームにはまた違ったことが要求されます。ノースカロライナ州シャーロットに拠点を置くチームペンスキーと、インディアナポリスに拠点を置くいくつかのチームは機材はそのまま戻ることなく西海岸を転戦しますが、クルーはその間に一度それぞれの拠点に戻る予定になっています。



チップガナッシレーシングは4台のレースカーと機材、担当クルーもそのまま西部にとどまります。チームのマネージングディレクターを務めるマイク・ハルは「3レースともガレージエリアは仮設テントになるので、自宅から1000マイル以上も離れた地でいかにいつも通りに仕事ができるかがカギになる。」とコメント。



テキサスとインディアナポリスを拠点とするAJフォイトレーシングは最終戦のロングビーチのみキンボールを加えての3台体制となるために、最初の2レース分のスペアパーツを準備し、最終戦へは追加で対応するとしています。



ペンスキーは3連戦での作業を合理化するために4台のカラーリングを3レースとも固定。チームで輸送担当マネージャーを務めるクリス・ヨーダは「9月の西海岸は蒸し暑く無く過ごしやすいのでちょうどいいし、インディ500や他のオーバルレースと比較しても持ち出すパーツや機材の量は少なくて済む」とコメントしています。



やはり、この3連戦で一番忙しくなるのはスペアパーツを供給するダラーラUSAのようです。

コメントを残す