インディカー参戦への熱意を力説するグロージャン



先日、インディカーシリーズ参戦を発表した元F1ドライバーのロマン・グロージャンは参戦決定の裏で家族を説得することに非常に苦労したことを認めました。

グロージャンはウィル・パワーがアップしたセブリングでのテストでのオンボード映像にくぎ付けになりました。
グロージャンは「しびれるね・・・」と一言。
すぐに妻のマリオンにこの動画を見せて、インディカー参戦への熱意を力説。

グロージャンはバーレーングランプリでのクラッシュによる火傷がまだ治療中ですが、インディカーの初テストは2月22日にバーバーモータースポーツパークで行われる予定で、4月18日の開幕戦までにさらに3日間のテストを行う予定になっています。

グロージャンは今シーズンはロードストリートの14レースに加えてショートオーバルのゲートウェイも参戦すると見られていますが、ハイスピードオーバルのテキサスとインディアナポリスでのレース参戦に関しては、まだ家族の同意が得られていません。

そのグロージャンはこのオフシーズンにYouTubeにアップされている最近のインディカーレース中継を視聴し、その合計時間は20時間にもなっています。

「この数か月間、YouTubeを見まくっています。インディカーレースはかなりエキサイティングです。F1だとターン1を過ぎた後はほぼレースカーのペースで結果が決まってしまう。順位変動はあってもインディカーのそれとは比較にならない」そうコメントするグロージャンが例に挙げたのは2018年のミッドオハイオでのノーコーションだったレース。

「予選途中のレッドフラッグでタイムが出せずに最後尾スタートになったブルデイが猛烈な追い上げを見せて6位フィニッシュしていました、それもディクソンのすぐ背後で。作戦次第で最後尾スタートでも十分にレースができる。ハードタイヤとソフトタイヤを巧みに履き替えて最後尾からぐんぐん上がっていった。すごいレースだった」と、インディカーならではのレース展開をグロージャンは指摘。

「前を走るクルマの追走のしかた、タイヤの使い方、プッシュトゥパスの使い方、予選では全車がコンマ6秒以内に集中する接戦度合い。すべてがすごい」とさらにインディカーレースの魅力を力説。

35歳のルーキーのグロージャンはF1世界選手権に10シーズンで180レースに参戦。2009年にルノーでデビューし、その後はロータス、ハースF1と渡り歩きました。

グロージャンのF1での成績は堅実な物でしたが、10回の表彰台はすべてロータス在籍時の物。しかし、新しいチームオーナーのデイル・コインはグロージャンは過小評価されていると指摘します。

「F1ではチームの格差がありすぎるのでドライバーを評価することは容易ではない。しかし、F1へのステップアップ前の彼の成績を見れば、彼の優秀さはよくわかる。2011年のGP2ではF1にステップアップしたドライバー9人がいる中でランキング2位に35点差もつけてチャンピオンになった。それ以前にもジュニアシリーズで6回もシリーズを制している。」とコインは評価しています。

グロージャンは去年の11月1日にイモラでデイル・コインと会って交渉を開始し、さらにクリスマス休暇には担当エンジニアのオリバー・ボイソンと会い、水面下では昨年からすでにインディカー参戦が既定路線だったことをうかがわせています。

インディカーシリーズ開催のコースで最も楽しみにしているというのが10代のころからプレイステーションで走りこんできたというラグナセカレースウェイ。グロージャンはそのお気に入りのコースで3月1日にテスト走行することになっています。

グロージャンはバーレーンGPで負傷した左手の皮膚移植した患部や、親指の靱帯も完治していません。しかし、開幕には十分に間に合うとしています。

「親指の靱帯以外の筋力は9割に戻っている。今はジュネーブの主治医の先生の指示を忠実に守って治療に専念しているところです。あとは先生の判断次第です」とまだピンク色の手の甲をみせるグロージャン。

短期間で身体の回復とインディカードライブの様々なテスト課題をこなす必要があるものの、これまでの経験をもってすれば十分克服可能であることをグロージャンは自覚しています。

チームとホンダはグロージャンのF1でのシミュレーターを使った開発能力を高く評価。インディカーでのシミュレーターテストにおいてもチームとチームメイトのエド・ジョーンズに多くの有益なデータをもたらすと期待しています。

デイル・コインは「彼はインディカーでの挑戦を非常に楽しみにしているし、我々は彼の活躍を楽しみにしている。相思相愛の最高の組み合わせで、きっと素晴らしい結果を残せる」と大きな期待をグロージャンに寄せています。

コメントを残す