レースアナウンサーとしてTVやラジオのレース中継などで活躍し、“Voice of the 500” と呼ばれたボブ・ジェンキンス氏が8月9日に73歳で逝去しました。
ジェンキンスは妻の看病を理由に2012シーズンをもってTV実況から一度引退。近年はインディアナポリスモータースピードウェイ(IMS)の場内アナウンサーの一人として現場に就いていました。
インディアナ出身のジェンキンスは約50年間にわたってIMSラジオネットワークでレース実況を担当。1990年からは1998年まではリードアナウンサーを担当し、1992年インディ500でのアル・アンサーJr.優勝シーンの実況はあらゆる機会で流されています。
TV中継ではESPN、ABCでインディカーやNASCARの実況を担当。54年間インディ500を生中継してきたABCで実況アナウンサーを務めた4人のうちの一人で、2019年にはモータースポーツの殿堂入りをしています。
1979年から担当したESPNでのNASCAR実況は20年以上も継続。解説のネッド・ジャレットとベニー・パーソンズとの3人トリオの実況解説は絶大な人気を博して、以来そのスタイルはアメリカのモータースポ―ツ実況の定番スタイルとなりました。
ラジオやTV中継でのジェンキンスの型にとらわれないフレンドリーな実況スタイルは非常に好評で、“Voice of the 500”とも呼ばれたジェンキンスは、IMSのトラムツアーアトラクションの音声ガイドナレーションやインデイ500表彰式のビクトリーセレブレーションの司会も務めていました。
ジェンキンスが初めてIMSを訪れたのは1960年。以来、今年のインディ500にまでに欠席したのは1961年と1965年の二回のみ。今年のインディ500では病床の身にありながらも、レース界への貢献を表彰するロビン・ミラー賞の受賞に出席しスピーチを行っていました。
ジェンキンスはレース実況の傍らでESPNの番組を制作する制作会社を設立。USAC主催のスプリントカーやミジェットカーレースなど、様々なローカルレース情報を伝える情報番組のSPEEDWEEKの制作と番組ホストを14年間勤めています。
自分は1991年からジェンキンスさんが担当するNASCAR中継やインディカー中継を日本で担当し、特にSPEEDWEEKの日本語版制作ではアメリカでの様々なモータースポーツシリーズやローカルレースの多くを知ることができて大変に勉強になりました。解説者と時には笑いながら楽しく実況するジェンキンスさんのNASCARでの砕けたフレンドリーな実況スタイルを日本でのインディカー中継やNASCAR中継のコメンタリースタイルに模倣してきました。R.I.P.
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