ポートランドGP、2ストップか3ストップか






http://www.imscdn.com/INDYCAR/Documents/5805/2021-09-12/indycar-race-pitstopsummary.pdf



ポートランドGPでは作戦が主に3つに別れました。中継スタッフ側からも今回のレースは展開がわかりにくかったとの指摘を受けたので改めて解説します。



【今年は5周増えて110周レースに】昨年の105周から110周に増やされました。フューエルウインドウは約32周(昨年最大値)。単純に2ストップでは14周足りない計算になります。フューエルウインドウはエンジンの燃調マッピングや走り方によって大きく変化するので、この数値はあくまでも目安です。



【主な作戦は2パターン】①2ストップ(イエロー頼み)②3ストップ(タイヤも燃料もリッチに使う)



【結果的に作戦は3パターンに別れる】案の定、スタート直後にマルチカークラッシュが発生して長いフルコースコーションが出されました。その結果、③として最初のフルコースイエローでトップオフ(燃料を満タンにし直す)したうえで出直す変則2ストップ、という3つ目の作戦が選択肢に加わりました。



【①2ストップ組】ハービー(4位)、ニューガーデン(5位)、レイホール(10位)、佐藤琢磨(12位)ほか計5台。1回目のピットストップが早かったレイホ―ルはラストピットでハービーとニューガーデンにオーバーカットされた上に、タイヤと燃費で有利なハータとローゼンクイストにかわされ、さらにフルコースイエロー直前にピットストップしたエリクソンとマクロクリンにも前に出られて大きく後退。琢磨選手は2回のピットストップでそれぞれ3秒ほどロスしたうえに、イエローに救われたエリクソンとマクロクリンに割り込まれてしまいました。このイエローが無ければ、10位フィニッシュでした。



【②3ストップ組】エリクソン(8位)、マクロクリン(9位)、オワード(14位)、ハンターレイ(15位)他計8台。ラストストップがイエローに救われたエリクソンとマクロクリン以外は3回のピットストップすべてがアンダーグリーンとなり、結果的にピットインの度にトラックポジションを失う結果になりました。



【③変則2ストップ組】パロウ(優勝) 、ロッシ(2位)ディクソン(3位)、他計8台。上位スタートしながらも、最初のアクシデントでシケインをショートカットしたとして後方に下げられてしまったために、フルコースコーションのうちにトップオフを選択。”結果的に”この作戦は①に対して燃費面でもタイヤの消耗でも有利で、③に対してはトラックポジションのロスが最小限になりました。後方グリッドスタートだった佐藤琢磨選手も2018年優勝時と同じようにこの作戦を取りうる状況だったと思われるものの、14ポジションアップを生かす作戦で①を選択する結果になっています。

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