ディクソンを押しあげ続ける策士のマイク・ハル
今週末のインディカー最終戦ソノマGPを前に既に5回目のチャンピオンタイトルに王手をかけているスコット・ディクソン。
今シーズンは3勝をあげて、このラスト13レース中12レースでTOP5フィニッシュ。シーズンここまでの16レースで11位以下のフィニッシュはわずか2回(ロングビーチとアイオワ)のみ。
その結果、ポイント2位のアレクサンダー・ロッシに対して29ポイントものリードを築いていますが、ロッシが優勝してフルマークの104点を取った場合はディクソンは2位以上のフィニッシュが必要ということでまだまだ気は抜けません。
5回目のタイトル獲得へ向けての原動力は安定した上位フィニッシュだけではなく、予選での失敗やレース中のペナルティなど、大きく順位を下げた時からの挽回力が他とは群を抜いています。
どんな状況でも確実に上位フィニッシュするディクソンの背後にはストラテジスト(作戦参謀)のマイク・ハルの存在が大きくものを言っています。
開幕戦ではFAST6に入れずに予選9位からのスタート。決勝レースでは琢磨選手に追突して最後尾まで下がるペナルティ受けた上にピットスピード違反もあって2回最後尾に下がった上での6位フィニッシュ。
その後も第2戦フェニックスでは予選17位から4位フィニッシュ。第5戦のインディカーGPでは予選18位からの2位表彰台。第14戦ポコノ500でも予選13位から3位フィニッシュと大きく順位を上げてフィニッシュしてきています。
この裏にはディクソンの速さの他に”運の良さ”と”作戦の巧さ”があることは疑いの余地がありません。
前回のポートランドGPではオープニングラップでの多重クラッシュに巻き込まれながらも奇跡的に無傷でコースに復帰。その後にピットスピード違反でドライブスルーペナルティを科せられてしまいますが、その直後にポールシッターのパワーのクラッシュでフルコースイエローとなり、遅れを挽回して5位フィニッシュ。この結果、8位フィニッシュしたポイント2位のロッシとの差をさらに3点広げることに成功しました。
このような最悪の展開の中で最大限にポイントを獲得するディクソンとハルのコンビはライバル勢にとっては大きな脅威になっています。たとえディクソンが後方に沈んだとしても全く油断できない状況を作り出しています。
もし、後方から挽回したこれらの5レースで、もしディクソンがもう1ポジション後方でのフィニッシュであればロッシとの差はわずか15点。2ポジション後方だったらわずか4点差。3ポジション後方だったらロッシがポイントリーダーで最終戦を迎えていました。
もはや最終戦でディクソンは21位以上を走行している限りはパワーとニューガーデンのタイトル獲得のチャンスは無くなり、ロッシの前を走っている限りはロッシのタイトル獲得のチャンスはありません。
ダン・ウェルドンがあのような事にならなければ、この2人が良い勝負をしたであろうと思います。