インディカーでの脳震盪診断の実施要項



先の開幕戦前にインディカーのメディカルスタッフによって行われた診断ではウィル・パワーに脳震盪の症状がみられるとして、決勝レースを欠場することになりましたが、その後の精密検査では実際には脳震盪ではなかったことが判明しました。

16日にパワーやチームスタッフらが出席しての記者会見が行われましたが、パワーはポールポジションを取っただけにレースには出たかったが、インディカーの決断は正しかったと述べています。

金曜日のプラクティス1で裏ストレートのドッグレッグで激しくクラッシュしましたが、インディカーセーフティーコンサルタントのテリー・トラメル先生によればイアピースセンサー内蔵の加速度センサーの検測値では脳震盪の判断基準を下回っていたために初期診断では問題なしの結果が出ていたとしています。

テリー・トラメル先生は92年にインディ500予選で大クラッシュして両足を粉砕骨折したネルソン・ピケを治療して翌年には復活させたほか、メソジスト病院に搬送される大クラッシュした多くのドライバーの大手術を担当してきた天才外科医で近年ではインディカーシリーズ全戦に帯同しています。

その後、パワーは吐き気やめまい、首の異常や痛みなど、脳震盪での諸症状を訴え始めました。レース決勝日朝に行われた診療では軽度の脳震盪の症状がみられるとして、パワーのレース出場は不許可となり、オリオール・セルビアが急きょ代役として起用されたのでした。

この時に実施された診察はSports Concussion Assessment Tool test (SCAT)に乗っ取ったもので、その結果、脳震盪の症状がみられると診断されました。
診察を担当したトラメル先生によると、脳震盪を前提とした診療を進めた結果、その諸症状が今回の病因だった内耳炎の諸症状とほとんどの部分で一致していたのが誤診断になった原因だと語っています。

パワーはレース翌日の14日にマイアミのジャクソン記念病院で、この分野の権威であるスティーブ・オルビー先生による脳震盪診断や超音波診断などを8時間に渡って受けましたが、脳震盪ではなく内耳炎と診断されました。

パワーは引き続き内耳炎の治療を続けますが、レースカーのドライブは許可がおり、チームはパワーが参加できなかった15日に行われたバーバーでのテストを22日にやり直すとしています。

当初はインディカーのメディア担当者の発表では”Stomach illness”(腹部の不調)となっていて、現場ではそのほかの病名も出ていたようですが、結果的に腹部に異常はなく、耳だけの問題だったということになります。

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