レーサー鹿島さん、インディライツデビューまでを振り返る③



インディライツスタッフによるルーキーオリエンテーションをクリアすると、こんどはフリープラクティス。前年のイベントでの予選タイムを比較しつつタイムトライアルを行います。

鹿島さんは3人目のドライバーと相乗りだったと思いますが、テスト走行距離は100マイル(=67周)の契約でしたが実際にはそれをわずかに上回って周回したと思います。

速度に慣れてくるとターンの入り口、エイペックス手前、エイペックス奥、ターン出口でのそれぞれの挙動を無線でピットへ報告しつつテスト走行を行します。私もピットで無線機を装着しつつ写真撮影を続けます。

鹿島さんはしきりにターンのエントランスでレースカーが勝手に左へステアし始める症状が強すぎると訴えてきますが、その状況が今ひとつピットのエンジニアにうまく伝わりません。当時私はNR2003にはまっていたので、オーバルでのセットアップに関してはかなり勉強していたところだったので、その症状が何を指しているかがすぐにわかりました。

レースカーのスタッガーセットアップによって、ターン入口でレースカーが自然に左へ切り込んでいく動きを”ローテーション”と言い、左のキャスターを寝かせて、右のキャスターを立てるとその傾向がより強くなります。


まさにその症状だったので、”ローテーションが強すぎる”ことをエンジニアに伝えると、すぐさまキャスターアジャストに取り掛かりました。結果的には強すぎるローテーションはかなり改善されました。

その他にも、様々な部分を微調整しながらハイスピードオーバルでのレースカーの特性をマスターして行き無事にテストは終了しました。


成果は上々で、チーム内の雰囲気は「これならば、かなりイイ線に行けそうだ」といった感じでした。今回テストをしたケンタッキースピードウェイでのレースが一か月後にあったので、その参戦も打診されましたが、鹿島さんのスケジュールの関係で最終戦のフォンタナしか都合がつかなかったのは残念でした。

つづく。

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