ペンスキーがデトロイトでのECUトラブルを調査










RACER誌のマーシャル・プルーエット氏のリポートによれば、チームペンスキーはデトロイトGPレース1で発生したパワーのレースカーのECUトラブルの原因を突き止めたと、以下の様にリポートしています。



レース後のパワーのインタビューでは赤旗でのピット停止中直後に冷却の許可がオフィシャルからすぐに得られなかったためにECUがオーバーヒートしたことがトラブルの原因であったかのようにコメント。



チームは月曜日にオーバーヒートの影響に関してECUのベンチテストを実施し、2020年開幕戦でパレードラップ前のエンジン始動に手間取ったハンターレイのケースと同様に、ECUが”boot mode(ブートモード)”になっていたことを原因としました。



チームペンスキーでマネージングディレクターを務めるロン・ラゼウスキーのによると、インディカーで全車に搭載されるマクラーレン・アプライド・テクノロジー(MAT)社のTAG-400i型ECUではよく起きるトラブルだとして、ピットに停車する際にパワーが通常の手順を踏まずにエンジンを停止させたのが原因だったとコメント。この”ブートモード”は正しい手順でのエンジン始動や停止を行わなかった場合に発生しうるトラブルで、これまでにも何回か発生している既知のトラブルであるとのこと。



よくあるPCが固まって電源ボタンを長押しして再起動させるケースと同様のトラブルだと説明しています。



ECUはコスワース社製の”インテリジェント・パワー・システム(IPS)”と呼ばれるソフトウェアで駆動。コスワースのエンジニアは「ポジション0=スイッチオフ」「ポジション1=電源オン」「ポジション2=エンジン始動」の3ポジションのスイッチが正しい位置になく、手順外の操作でエンジンのオンオフが行われた場合に”ブートモード”に切り替わると説明しています。



数年前にコスワースは防止措置としてチームに対して改良プログラムの使用を推奨していますが、まだプログラムの一部に問題が残っているとペンスキーのラゼウスキーは見ています。



コスワースはプログラム上ではポジションスイッチの切り替え時には2秒以上の時間をおいて切り替えることを推奨していますが、ドライバーが2秒以内でスイッチを切り替えた場合にはブートモードへ突入する場合があると説明。



赤旗解除時にメカニックはエンジンの再起動を手順通りに行ったにもかかわらず、エンジンはすでにブートモードに突入し、なす術は無かったとラゼウスキーはコメントしています。



レッドフラッグ中には1台につき2にのメカニックしかレースカーに触ることができず、正確に状況を把握するにはメカニック一人を戻し、代わりにシボレーのエンジン担当エンジニアがレースカーにPCを接続して状況確認する必要があったことと、その状況ではシボレーのエンジニアがECUの再接続を行う必要があったとして時間を要したと説明しています。



チーム側としては熱によるECUのオーバーヒートは起こりえないと最初から判断。実際にもオーバーヒートは原因ではなく、シボレーのエンジニアはピットレーン上でECUにPCを接続して原因をチェック。すぐにはECUを再起動できず、チームはそれ以上のピットレーン上での作業は時間を浪費すると判断してピットボックスにレースカーを戻してECUを交換する判断をしたとのこと。



結局、ローゼンクイストのクラッシュによる赤旗計時の時には何もトラブルの発生はなく。インディカーが全車がピットインして停車するまでにピットクルーの作業開始を認めなかったのがトラブルの原因だったというパワーの非難をチーム側は退け、約30秒間余計に止まったことによるオーバーヒートはECUトラブルとは関係が無かったことをチームは最終的に確認しています。

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