インディカーでのパワーユニットの変遷






次戦のミッドオハイオより現行の2.2リッターV6ツインターボにモータージェネレーターユニット(MGU)とエナジーストアシステム(ESS)が組み合わされたハイブリッド・パワーユニット(PU)が導入されます。

パワーユニットのスペック変更は2012年に現行の2.2リッターV6ツインターボエンジンが導入されて以来となります。2012年の導入当時はホンダがシングルターボを選択し、シボレーはツインターボを選択しましたが、2014年にはツインターボに統一されています。



ホンダのシングルターボエンジン。ベルハウジング内にターボユニットが収まる




ホンダの2.2Lツインターボエンジン。ターボユニットは左右のサイドポッド内に収まる。




1911年に第1回インディアナポリス500を制したマーモンWASPは9100㏄直列6気筒で142馬力(102kw)でした。



マーモンWASP




その後の大きな技術革新は、

1924年 メルセデスが機械式過給機(スーパーチャージャー)を導入
1925年 前輪駆動車が登場
1928年 予選のみメタノール燃料を使用するレースカーが登場
1931年 5.9L直4ディーゼルエンジン搭載車がノーピットで完走
1949年 燃料噴射装置が登場
1961年 クーパー製ミッドシップエンジンカーが予選通過
1964年 V8DOHCが登場 
1965年 ガソリン燃料を禁止、100%メタノールのみ使用可能に
1967年 プラット&ウィットニー製ガスタービンエンジン登場
1969年 レース用ターボエンジンエンジン(2.65L)が主流に
1973年 スモーキー・ユニックがツインターボを導入
1974年 予選ではターボ加給圧を制限するポップオフバルブを導入
1985年 パンチョ・カーターがビュイック製市販ブロックOHVエンジンでポールポジション
1986年 イルモア製V8ターボエンジンが誕生
1994年 イルモア製メルセデスV6OHVエンジンが登場
1997年 ストックブロック製4LNAエンジン導入
2000年 3.5LNAエンジンへ変更しストックブロック規定を撤廃
2004年 インディ500より3.5Lから3Lへ変更
2006年 燃料をメタノール100%からメタノール90%+エタノール10%へ変更
2007年 燃料をエタノール100%(のちにガソリン2%を混入)へ変更、3Lから3.5Lエンジンへ
2012年 2.2LV6ターボエンジン導入。燃料はエタノール85%+ガソリン15%(E85)へ
2014年 ターボをツインターボに統一
2023年 100%再生可能燃料へ変更
2024年 ハイブリッドPUへ







次戦から導入されるハイブリッドPUは軽量化されたマグネシウム製ベルハウジング内の内部に設置され、エンジンと直列に設置されるイルモア製のモータージェネレーターユニット(MGU)でアクセルのバックオフやブレーキング時に運動エネルギーでMGUを駆動して発電されます。

発電された回生エネルギーは20のスーパーキャパシターで構成されるHRC開発のエナジーストアーシステム(ESS)に蓄えられます。ESSはベルハウジング内のMGUの上に搭載されます。







エネルギーの回生はブレーキングやアクセルのバックオフなどの減速時に自動的に行われますが、ステアリングホイールに設置されるパドルシフトやボタンを使用して手動でエネルギー回生ができるようにもなります。

ESSに蓄えられた回生エネルギーは現行のプッシュトゥパスシステム(P2P)の様に、ボタンなどを押すことで任意のタイミングで任意の時間で使用できるようになります。







ロードストリートコースでは従来のP2Pとの併用も可能で、併用した場合は最大120馬力の増加になります。

エンジン出力が800馬力を超えるのは1994年のインディ500でチームペンスキーが使用したイルモア製2バルブOHV3.4LV6ターボエンジン以来になります。




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