走れ! 西へ東へ

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19日、東京ドームに5万6千人を集めて行われた格闘技イベント「THE MATCH」。キックボクシングからボクシングへの転身を表明している那須川天心選手がK-1のエースとして君臨する武尊選手を破り大いに盛り上がりました。しかし、予定されていたフジテレビ系列での生中継は取りやめになってしまいました(週刊誌で運営関係者の黒い交際疑惑が報じられたのを受けた措置といわれています)。その一方でAbemaでのペイパービューの申し込みは予想以上のものになったといわれています。

さて、ここ最近のスポーツ中継で新たなジャンルとして確立されているネット配信。場所を問わず見ることができるし、リアルタイムで見られなくてもアーカイブ視聴に対応しているので時間に縛られることもない。ただ、お金を払わないと見られないものもあります。そのジャンルが好きなら金を払ってでも見るのは当然の考えという人もいるそうですが、あまねく競技の魅力を伝えるためには視聴料を払わなくても見られる(NHKの受信料は別にして)放送メディアの役割はまだあると思う私の考え、古いのでしょうか?

視聴料を払って特定のスポーツイベントのテレビ中継を見るペイパービューと呼ばれる制度はアメリカのプロレス・WWF(現在のWWE)から浸透してきた気がします。普段行われている試合は比較的見やすい条件で見られても、重要な試合を集中的に開催する日はその日のための追加料金を払わないといけないそうです。それでも見たいという人たちがたくさんいるためペイパービューが世界的に広まっていったのでしょう。日本ではCSのスカパーやケーブルテレビでのペイパービューが21世紀になって広まったように見えます。

しかし、1990年代、FIFAはペイパービューを苦々しく思っていたこともあったと聞きます。当時はヨーロッパの主要リーグの中継がペイパービューで放送されるのが当たり前になった時期。FIFAは各国リーグはそれぞれの国の事情があるから諌めようがないにしても、ワールドカップのような世界大会は公共放送での中継を奨励したらしい。日本でいえばNHKと民放キー局の共同体・ジャパンコンソーシアムが望ましいということでしょう。しかし、ネット配信、ペイパービューが当たり前の2022年カタール大会はジャパンコンソーシアムの枠組みが崩れてしまい、無料とはいえAbemaで配信されることになったとか。それに付随する形でNHKとAbemaの親会社の1つであるテレビ朝日とAbemaに出資しているフジテレビが放送権を得ましたが、日本テレビ、TBSテレビ、テレビ東京は現状では放送不可能になってしまいます。憂いでいる私は古いのでしょうか? では、また次回です。
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