走れ! 西へ東へ

走れ! 西へ東へ

驚きました。誤解を恐れずに言うなら、「手のひら返しなの?」と言いたくなるくらいです。1日にスピードスケートの名門の呼び名が高かった日本電産サンキョーが3月31日をもってスピードスケート部を解散することを表明したのです。

70年近くの歴史を誇り、清水宏保さん、高木菜那選手とオリンピックの金メダリストを送り出していた超名門。高木選手が金メダルを獲得した時には恐らく所属企業では最も高額であろう報奨金を贈ったことも話題になりました。そこまで盛り上げていた企業がどうして廃部を決断してしまったのか…。今回の北京五輪代表で唯一の高校生だった堀川桃香選手は入部内定していたのに高校の卒業式が終わった直後に廃部を知ったとか(その後関係者が各所を回って進路を探した結果、富士急に入社することに)。なんともいえません。

2日付のスポーツ報知によると、2014年のソチ五輪後にナショナルチームでの長期的な強化を日本スケート連盟が着手したのが分水嶺になったようです。実業団チームからナショナルチームに招集されると10か月近くの合宿があるので、実業団チームのレベルアップは昔ほど簡単にはいかなくなったという見方もあります。それに、実業団チームに所属する日本代表選手は最近は少数派になっていて、特定のスポンサーと所属契約を結ぶプロのような人の方が多くなっているようです。そういう世の中の流れを感じたか、日本電産サンキョーは「企業がスピードスケート競技の発展に貢献するという当初の目的についての展望が持てないと判断した」として廃部を決断したとか。

世の中の流れ、経済的な問題、いろいろな壁があるかもしれません。浅はかな考えかもしれませんが、競泳のようにナショナルチームとクラブ、学校が両輪となって強化していくシステムが構築できていれば実業団チームが肩身の狭い思いをすることがなかったのではと思います。自分のことのようにチームを盛り上げていった社長に無念の決断をさせてしまったのは本当に残念です。ですが、この出来事が全身のきっかけになることを祈ります。では、また次回です。
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