高い安全性を追求し続けるインディカー






モータースポーツ界での安全性におけるリーダーとしてインディカーシリーズの存在が再認識されています。

先の10月にアムステルダムで開催された”スポーツ中の脳震盪に関する国際会議”において、インディカーが実施している「ドライバーの頭部外傷への影響のデータ収集と分析のプロセス」が発表されました。

インディカーは2017年以来、走行中に発生したインシデントで基準値以上の衝撃を受けたドライバーに対しては精密検査を行い、頭部へのダメージを診断には、ピッツバーグに本拠を置き、神経疾患の診断システムを開発しているニューロリン社の”I-Portal Portable Assessment System(I-PASシステム)” を過去6シーズンにおいて使用し、診断データを蓄積してきました。
I-PASテストは、ドライバーの事故直後に実施されるだけでなく、オフシーズンに事前に実施されたテストデータと共に比較、評価されます。 参戦全ドライバーは事故発生時の診断に備えて、オフシーズン中に事前テストを受けることになっています。

I-PASテストによって収集された情報は、フロリダ州セントピーターズバーグにあるジョンズ・ホプキンス・オール・チルドレンズ病院の医師に提供され、AIによる診断が実施されます。 同病院のスポーツ医学チームに所属するパトリック・ムラロニ先生とダニエル・ランサム先生は、故ダン・ウェルドンに敬意を表して始まった地元のカート 4 キッズプログラムに参加したことをきっかけに、この診断プロセスに参加するようになりました。

これらのインディカーによる複合的な取り組みにより、脳震盪発生後の時間の経過によってドライバーが受ける影響と、脳震盪発生のしきい値を下回る衝撃度においてのリスクについての分析データを蓄積しています。

インディカーで長年にわたって医療チームに従事してきたテリー・トラメル博士は「インディカーがそれらの脳震盪に関する詳細データを持っている世界で唯一のスポーツ組織であり、分析され蓄積されてきた全てのクラッシュのでデータはいつでも参照することができるようになっています。」とデータ蓄積の意義と重要性を説明しています。

トラメル博士によると、実際には衝撃を受けた当事者が脳震盪の自覚症状を訴えることは多くはないために、事前に収集した平常時のデータとの比較を行い、脳震盪の症状があることを前提に診断を進めるI-PASテストの重要性を唱えています。

インディカーのメディカルチームは、特定の衝撃Gで影響を受けた後の回復のパターンから判断して、その後の適切な処置方法を全員が理解しています。

トラメル博士は、「我々は、脳震盪のしきい値がどこにあり、脳震盪の影響が長期的にどのような結果をもたらすかについて、独自の視点を持っています。しかし、頭部外傷に関連するデータをさらに精密に分析するために、今後もさらに多くのデータをインディカーは継続的に収集する必要があります」と今後の活動の必要性について訴えています。

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