ストリートレースで使用されるコンクリートバリアーとフェンスのFIA安全基準






今週末のナッシュビルのストリートコースには、FIAの定めた安全性基準の認証を受けたスイスのGeobrugg(ジェオブルッグ)社製の、コンクリートバリアーとフェンスが一体化されたユニットバリアーが導入されます。アメリカでのストリートレースでは初めての導入となります。https://www.geobrugg.com/en/Race-Tracks-77582,7858.html?branche_id=7900



千葉県柏市にジェオブルッグ社の日本法人があり、ジェネラルマネージャーの西村信人さんに、この最新のユニットバリアーについてお話を伺いました。







ジェオブルッグ社は山間地の道路などに設置される落石防護ネットやバリアー、山岳部や急傾斜地で”のり面”の崩落を抑えるための落石防止ネットや雪崩防止のためのフェンスなどの製造、設置などの事業を行う企業として創業。現在はFIAが定めた安全基準をクリアする防護フェンスを製造する3社のうちの一つになります。







2013年インディカーシリーズのヒューストンGPで、レース終盤にダリオ・フランキッティが前車に接触して宙を舞い、キャッチフェンスを直撃するというアクシデントがありました。







このアクシデントでフランキッティは脊椎の2か所と右足首を骨折。フェンスや支柱がコース外にも飛散して観客2人とコースマーシャル一人が負傷しています。



このアクシデントでFIAはコース外で観客に負傷者が出たことを重視。キャッチフェンスの安全規格の設定に取り掛かりました。



設定された衝突基準を大まかに説明すると、重量780kg(F1カーの車重相当)の鉄球を時速60kmの速度で90度の角度で衝突させても耐える強度と、車重1トンの乗用車を時速120キロで20度の角度でフェンスに衝突させて、以下の基準をクリアする強度が求められます。



  • 大きな破片が貫通しないこと
  • フェンスがコンクリートバリアーから外れないこと
  • フェンスの変形は衝突地点の前後それぞれ3m以内に収まる事







FIAが設定した基準を実際に確認するにあたって、正確な検証とデータ収集を行うための実験装置が検査機関であるFIAインスティテュートにはありませんでした。FIAは試験を実施するのための調査を続けている所でジェオブルッグ社に行き当たり、ジェオブルッグ社は検証実験作業への協力を起点として、安全規格を満たしたフェンスの製造もおこなうことになったということでした。



キャッチネットの素材には従来のネットよりも3倍から4倍の強度を持つ高張力鋼が使用され、ネットのワイアーを細くしてもこれまで以上の強度が得られるようになりました。







その結果、観客席からネットを通しての視界が格段に改善されました。さらには補強のために横方向にスチールワイヤーが設置されますが、その上下の設置間隔がこれまでの25cmから50cmに拡大してより良好な視界を提供できるようになったとのこと。











鉄筋入りで補強されたコンクリートバリアーは、鉄製のスレーブにキャッチフェンスの支柱を差し込んでからボルトで強固に固定。コンクリートバリアー同士も金属製のナックルによって強固に連結されます。







これまではバリアーの両サイドに飛び出る形で設けられたU字の鉄筋にネットの支柱を差し込むか、連結せずに個別に設置するなどされていましたが、今年のデトロイトGPではレースカーの衝突を受けてコンクリートバリアが転倒。修復作業に90分近い時間を費やしていました。







ジェオブルッグ社のユニットバリアーは、2018年に東京のお台場で開催された FIAインターコンチネンタルドリフティングカップの特設コースで日本に初登場しています。国内の常設サーキットではまだ導入設置例はありませんが、アメリカではテキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)やウィスコンシン州のロードアメリカなどで導入されています。

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