作戦の分かれ道は運命の分かれ道


デトロイトでのダブルヘッダーレースは2レースとも見事に作戦が分かれ、ドライバーと共にチームのレースストラテジストのバトルにもなっていました。

【レース1で3ストップ作戦のブルデイが優勝】

ブルデイは最初から3ピット作戦でで3周目、36周目、57周目に入っています。
これはレース終盤は降雨になることを予想してスティントを4つに分けることでレインタイヤへの交換するチャンスと燃料補給タイミングをうまく合わせようとの意図が見えます。

たまたま、レースハーフウェイの36周目に入った2回目のピットストップ直後にフルコースイエローになったのもラッキーでここでステイアウトして大きくジャンプアップ。

そこからの2スティントはショートスティントでタイヤを酷使してフルリッチでハイペースで走り切れた上に、逆にラストイエローをラストピットにした人たちは燃料がぎりぎりになってしまってペースを抑えなければならなくなったことがブルデイの大きなリードにつながりました。

最後のストップではタイヤ交換をしていない可能性もありますが路面温度28度と低かったのも助けになりました。

42周目の2回目のフルコースイエローがブルデイに有利に働きました。
もちろん、最後にピットストップしてもトップで戻れる十分なマージンを築く自信がないとこの作戦は取れないでしょう。

ブルデーは去年のミルウォーキーでも同じようなステイアウト作戦でリードを築いて逃げ切り勝ちしています。

【レース2は2ストップ作戦のパワーが圧勝】

翌日のレース2でもSブルデイは全く同じ3ストップ作戦を遂行。ただ違ったのは残り20周での最後のフルコースイエローのタイミング。

このイエローはすでにラストピットを済ませていた人たちの燃費を助け、ブルデイには十分なマージンを築かせませんでした。

13か月ぶりに優勝したWパワーは25周目と50周目の2ストップ作戦で、これは最初から降雨を予期していなかったことを表しています。最後のリスタート後2周目でSパジェノーをアウトからパスしたのも勝利に大きくつながりました。

一方で大きく割を食ったのが14位に終わったHカストロネベス。
パワーと同じ2ストップ作戦で、40周目にクロスラインでSパジェノーをパスしてラップリーダーになり、丸2年ぶりの優勝かと思いましたが、ラストイエローに阻まれました。

すでにフューエルウインドウにはとっくに入っていたのですから、そこでピットインせずに引っ張る必然性はありませんでした。ただ49周目に自己ベストラップを更新しているので、できるだけプッシュしてリードを稼いで有利にもって行こうとの意図があったのでしょう。

しかし、あのようなケースでは一発イエローで大きく後退するリスクは恒常的に付きまとうわけで、ストラテジストのロジャー・ペンスキーの判断ミスともいえます。

ラストピットを遅らせると
①燃費走行の必要がなくなる
②タイヤをいたわる必要がなくなりプッシュできる
③燃料補給時間を短くできる
などのメリットがありますが、今回のようなリスクもあるわけです。

チームは当然それを承知でレースをしていますから
Hカストロネベスだけがかわいそうだというわけではないのです。

機会は平等。その中でいかにベストな作戦を立てるかもインディカーレースの醍醐味です。

2件のコメント

  1. とっても分かりやすいです!
    INDYがいかにチーム戦で
    みんなで戦っているのだなと
    感じました。
    あと運も味方にしないと…

コメントを残す