爆走!!下町レースカー!@多摩川スピードウェイ

某TV局のドラマ”下町ロケット”が高視聴率を記録していますが、そのドラマのレース版ノンフィクションの舞台となったのが今から79年前に建設された日本初の常設レースサーキットの多摩川スピードウェイ。


来年は建設から80周年を迎えるにあたって『多摩川の歴史遺産 モータースポーツ発祥の地 多摩川スピードウェイ回顧展』が11月21日と22日の2日間、田園調布せせらぎ公園集会室・多目的室で開催されています。

東急東横線、目黒線、多摩川線の多摩川駅東口目の前で、入場料は無料です。

会場内には当時の写真や映像などが展示され、今や世界のレース界で活躍する日本の自動車メーカーのレースにおける第一歩を見ることができます。


動画はこちらでも見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=OopA5SXQcWc
それまでは月島などの湾岸の埋め立て地などの仮設コースで行われてきた日本のレースでしたが、1936年に神奈川県川崎市の多摩川河川敷に常設サーキットの多摩川スピードウェイが完成し、「第1回全日本自動車競走大会」が開催されました。


1周1200mのオーバルコースで、建設費用は諸説あって8万~15万円(現在の価格でいくらか不明)。入場料は1円で、当時としては超高額チケットながらも3万人もの観客を集めました。

これがその時の大会プログラム。

各クラスごとのレースが行われた最後は全車参加のファイナルレースとなっていますが、驚くべきは7番目の番外スロースピードレース。なんと映画スターが参加する”セレブリティーレース”まで開催されていたのでした。

エントラントにはヤナセの前身である梁瀬自動車が英国から持ち込んだ#24インビクターや本田技研工業設立前の本田総一郎氏の#20浜松号、日産自動車のダットサンがワークス体制で5台を投入するという豪華なラインナップ。

全車出走のファイナルレースを制したのは梁瀬自動車チームのインビクターでした。


当時は大排気量の外車に対して小型の国産車は全く歯が立ちませんでした。外車がインディカーだとすると、国産車はミジェットカーも同然の格差でした。
下の写真の一番右と3台目が国産車のダットサンですがタイヤを見ても大きさの違いが分かります。


ファイナルレース前の注目の一番だったのが、プログラム6番目の商工大臣カップレースでの国産車対決。ダットサンワークスの5台に対して町工場規模の自動車メーカーだったオオタが2台という7台での30周レース。

誰もがダットサンの圧勝を予想する中で、結果はオオタの1-2フィニッシュ。


あまりの圧勝ぶりにVIPシートで観戦していた日産の創始者、鮎川義介氏は途中で帰ってしまったそうです。結局、オオタは商工大臣杯と国産自動車杯の2レースを制して町工場の高い技術力を全国にアピールしたのでした。

このオオタ自動車創業者の息子さんの会社で、今も多くのレースカーにエンジンパーツ等を供給するのが現在のタマチ工業。
http://tamachi.jp/
4か月後に行われた第2回全国大会では総力を投入したダットサンワークスがリベンジを果たしたそうです。

この物語を映画化、ドラマ化したら「その時世界は動いた」と「プロジェクトX」と「下町ロケット」を足して2倍したくらいの大ヒットになりそうな予感です。

20日に行われたプレスデーには全日本選手権スーパーフォーミュラシリーズで今年のシリーズチャンピオンに輝いた石浦宏明選手も参加していました。

石浦選手はオオタ自動車の血統を継ぐタマチ工業製のエンジンパーツが使われるトヨタのレースカーでチャンピオンになっています。


いつもGAORAのインディカー中継見てますよという石浦選手。
ご自身は世田谷区の二子玉ほど近くの出身ということで、多摩川流域は自転車で走ったりして古くからなじみの場所だったそうです。

「教習所もここからすぐ近くの東急自動車学校でしたし、このあたりは小さいころからよく来た場所です。4、5年前に多摩川スピードウェイの存在を知ったのですが、自分の地元のすぐ近くにこんな偉大な歴史を持つ場所があることを知って、ぞくっとしました。自分は歴史モノが好きなので本当に不思議な感じがします。まだ自分がチャンピオンになったという実感はわいていないですが、自分も日本のレースチャンピオンとして歴史を受け継いでいきたいですね。」 と多摩川スピードウェイの存在と今のご自身の存在が歴史的につながったことに興奮を隠しきれない様子で語っていました。

その石浦選手もご自身のブログに書いていますね。
http://ameblo.jp/ishiura/entry-12097775183.html
来年の5月ごろには80周年セレモニーを多摩川スピードウェイ跡地で行い、史跡としてのプレート設置のセレモニーなどが行われるそうです。

長くなりましたが、ぜひ『多摩川の歴史遺産 モータースポーツ発祥の地 多摩川スピードウェイ回顧展』を見に行ってみてください。

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