パックレーシングと危険性

スリリングだった3時間のレースを手に汗かいて観戦した後に、Wパワーらのコメントに冷や水をぶっかけられて複雑な心境になってしまった人は少なくなかったのではないでしょうか?

幸か不幸か、派手なクラッシュでレースは幕を閉じ、その後のインタビューでは立て続けにレースに対して辛辣で批判的でなコメント発したのですから無理もありません。たまたま生放送でインタビューした最初の3人がレースを批判したわけですが。

今回のレースに対してヒステリックに2011年ラスベガス戦を引き合いに出すのは私は正しくないと思います。飛躍しすぎです。

1999年にフォンタナのレースでグレッグ・ムーアを失った時に「こんなレースは危険だからやるべきではない」なんて声はありませんでした。1996年のトロント戦でもしかりです。

まして、ハイバンクのテキサスやシカゴのパックレースで宙を舞ってフェンスに激突し大けがを負ったケニー・ブラックやライアン・ブリスコーからパックレースに関して否定的なコメントは出ていません。

今回のレースはパックレース(集団走行でのレース)というよりかは”自由自在ににラインが取れるレース”と定義したほうが正しい気がします。密集しすぎて行き場に選択の余地がなかった2011年ラスベガス戦とは状況がだいぶ違います。

この違いを冷静に正しく分析できるかどうかは重要です。
事実、フォンタナ戦はパックになることはありましたがドライバーは3ワイドの真ん中になったらバックオフ(アクセルを戻すこと)するなどの選択肢がありましたし、事実そうして接触を回避しているシーンはそこかしこでした。密集しすぎて身動きが取れなかったラスベガス戦とは全く違います。

行き場がなくパックにならざるを得なかったラスベガス戦とは違って、フォンタナ戦ではドライバーの意思で自由にラインをとって横に並んだり隙間に入って行ったりしていました。

火曜日には家族でディスニーランドで過ごしたというEカーペンターはそのあとにインディアナポリスのTV局、WTHRの電話取材を受けていますが、「レースをする側の人間が公共の場で平然と不平を言っている限りはそのスポーツの成長はあり得ない」とコメントし「レースに対して様々な意見を持つことは自由だが、それを最初にファンにぶちまけるべきではない」と付け加えています。

さらに、「レースというものはあらゆることにおいて危険なのであって、自分にとっていつが最後の日になるのかはわからない。腹が立つのはあるドライバーがパックレースのみをその標的にしていることだ。ダンはパックレースで命を落としたが、ダリオはストリートでレースキャリアを終えた。ロードコースで命を落としたドライバーは大勢いる。トニー・レナは1台だけのテスト中の走行で命を落とした。あらゆることが危険だがそれは問題ない。自分が選んだ道だからだ。」と答えています。

Eカーペンターの主張を要約すると、「いやなら勝手に降りればいい、俺まで巻き込むな」ということです。
http://www.wthr.com/story/29444033/kravitz-indycars-carpenter-takes-aim-at-fontana-critics
この件に関してはいろいろな意見があるでしょうが、コメント欄へぜひどうぞ。

8件のコメント

  1. 今シーズン最も面白いレースでしたね。目が離せませんでした。今ではどのカテゴリーでも殆ど見られない本当のレースというものを見た気がします。

    ドライバーの感想は様々ですが、レースにクラッシュは付きもので、勿論大ケガや死亡事故に繋がるクラッシュの確率を減らす安全対策は行われているわけですけど、レースが無くならない限り、完全に安全なレースなんて無いのも当たり前で(運、不運もあるわけですから)、そういう意味でもエドの言う通り「嫌なら辞めろ」ですね。まさに正論です!

    少なくとも私が観たかったのは今回の様な緊迫したバトルです。
    眠くなるようなレースばかりになるなら、観なくなるでしょうね。
  2. 自由自在にラインが取れるレース…
    確かにこの方がしっくりくるレースだった気がします。
    狭い空間の中でマシンがひしめき合う中で、誰もがより有利なスペースを求めてレーンチェンジしまくってましたね。
    あんなクレイジーなレースは、真のプロフェッショナルドライバー達だからこそ成し得る、まさに異次元の世界だったと思います。
    1. そうなんですよね。ドライバーにはかなり自由度のあるレースだったと思います。
  3. レースが終わった途端になると昔話が出るのですね。当時テレビを観ていなかった人にとっては?て感じです。 そんなに語りたかったら契約して、過去のレース(CART IRL)を後付け放送をすればいいです。
    1. 書き込みありがとうございました、
      しかし何をおっしゃりたいのか意味がよくわかりません。
  4. 皆が同一周回。チャンスがあれば、15位から1位まで上がることだってできる。ラップダウンしても、イエロー1回でラップバックできてまた上位を競える。こういうレースだからこそ、レースが観たくなるんだと私は思いますね。
    私たちファンが望んでいるレースの姿って、一列縦隊でずーっとラップを重ねて、ラップダウンが続々出てきて、最終的に5台未満がトップを争うものではないはずです。
    低速だって、キャッチフェンスまで飛んでいけば命はありません。
    ザナルディのように、ただのスピンアウトで終わるはずが運悪く高速Tボーンになれば、ああなります。
    しかし、それこそが自動車レースであり、ファンもドライバーもその前提の上で、議論する必要があると思います。
  5. 確かにパックレースになればドライバーは危険かもしれませんが、パックレースこそがオーバルレースの醍醐味だと思います。
    そして、”5000人だとしたらその必要はあるのか”とトニーカナーンは言っていましたが、このレースを見て新たなファンが増える可能性もあると思うので観客が少ないからやらないと言っていたらいつまでもファンは増えないと思いました。

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