佐藤琢磨、チャンピオン争いへの道



佐藤琢磨はインディ500の優勝で大きな転機を迎えています。

41歳になる琢磨はF1での91レースと、これまで8シーズンに及ぶインディカーレースでの経験を経て円熟味を増し、今シーズンはグラハム・レイホールをチームメイトにレイホールレターマンラニガンレーシング(RLLR)に加入しました。

これまでの3シーズン、Gレイホール単独でシリーズチャンピオン争いに絡んできただけに、この琢磨のRLLRへの加入は琢磨本人のみならずチームにとっても願っていたものでした。

「シリーズチャンピオン獲得のためにはすべてがまとまらなければなりません。チャンピオン争いをするためには波が無く、粘り強く行きたいです。一発の速さも安定した速さも必要ですし、シーズン終盤には強さが必要になります。自分としてはこれらすべてを克服したいです。」

「確かにインディ500の存在は別格で、一番重要なレースです。でもシリーズチャンピオン争いも同じくらい大事だと思います。チャンピオンはシーズンを通じて速さの頂点にあったという証ですからね。」
と。琢磨選手は語っています。

RLLRが、オフシーズンに佐藤琢磨のチーム加入を発表した時、チームオーナーのボビー・レイホールは技術面でも優れている琢磨のチーム復帰を手放しで喜んでいました。

「ドライバーとしては常に上を目指して前進し、アスリートとしてフィジカル面、メンタル面、技術面で、2012年よりもよくなっていると感じています。チームはそれ以上に強化されていて、エンジニアリング面もスタッフも大幅に強化されています。」と琢磨はコメント。

29歳のアメリカ人、Gレイホールはこの3シーズンで、それそれランキング4位、5位、6位と来ていて、今シーズンはチャンピオン獲得に照準を絞ってきています。開幕戦ではアクシデントでほぼ最後尾まで下がりながらも2位フィニッシュし、表彰台でシーズンをスタートさせています。

昨年、佐藤琢磨はインディ500を制覇し、シーズンでもキャリアベストとなるランキング8位でした。開幕戦では予選5位から12位フィニッシュ。タッグを組むエンジニアのエディ・ジョーンズはこれまで3年間は、Gレイホールを担当してチャンピオン争いを続けてきています。

「チームの技術力はすばらしいです。エンジニアは仕事上、データの解析や車の構造には詳しいですが、レースカーの挙動を体で直接感じ取ることはできません。なので、ドライバーの意見をすごく尊重してくれるエディの仕事の進め方はすごく重要だと思います。」

「エディはドライバーの話をよく聞いてくれるので、それがこの3年間のグラハムの結果につながっているんだと思います。今年は自分がエディと組んでいますが、自分がフィードバックした情報が余すことなくチームに伝わってレースカーに反映されていることを実感しています。」と琢磨選手はエンジニアとの関係を高く評価しています。

そして、グラハムに関しては
「若い時から才能があるドライバーでした。2008年に彼が19歳の時にセントピート初優勝したのを見た時にその才能を感じました。この3年間を見てみると速さだけではなく、安定感も抜群だと思います。速さ、安定感、レースの組み立て。どれをとってもチャンピオン候補として十分なものを持っていると思います。」と絶賛しています。

インディ500のチャンピオンリングを指に輝かせる佐藤琢磨はインディ500優勝後の騒動をこう振り返ります。

「すべてがよかったですよ、すごく忙しくなって自分の時間が無くなるほどでしたが、やっぱりうれしいですよ。ファンやスポンサーの皆さんからたくさんの応援をいただきましたし、インディ500優勝は夢でした。スピードウェイのゲート2には自分の写真の大きなバナーがありますし、こんな経験は他にはありません。」

インディ500を制した佐藤琢磨の次の目標はシリーズチャンピオンになります。

「ショートオーバルでも、スーパースピードウェイでも、ストリートでも、ロードコースでもあらゆるコースで速くないとチャンピオンにはなれません。それを目指すだけです。」

次回第2戦はオープンテストでトップスピードをマークしたショートオーバルのフェニックスでのレースとなります。

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