ダウンフォース。レースカーを路面に押し付ける力をインディカーではどうやって発生させているのか。
前後のウイング以外にインディカーでは車体下面でダウンフォースを発生させています。
「ウイングカー」「グランドエフェクトカー」「ベンチュリーカー」とも呼ばれますが、インディカーはその典型ともいえます。
上の写真の黄色い矢印のところに空気の通り道を設け、その前後断面形状を翼を上下逆さまにしたような形状にすること(アンダーウイングもしくはアンダートンネルと呼ぶ)により、車体と地面の間を流れる空気を後方に勢いよく引き抜くことによって、車体全体が路面に吸い寄せられるように力が働いてダウンフォースが発生します。
F1ではコーナーリング速度が高くなりすぎるという理由で1983年からウイングカーは禁止となり、ダウンフォースの発生量が少ない”フラットボトムと”なっていました。その後はさらにダウンフォース発生量が少なくなる”ステップドボトム”になっています。
現行シャシー(上イラスト)でも、このアンダーウイング(トンネル)で大きなダウンフォースを発生していますが。ダラーラIR-12シャシーではダウンフォース発生量が大きすぎるとして、2015シーズンからサイドポッド手前には開口部が設けられ、ロードコースではアンダートンネルのサイドスカートが取り外されています。(写真下)
http://blog.gaora.co.jp/indy/2016/04/16980
http://blog.gaora.co.jp/indy/2015/03/12381
スーパースピードウェイなど平均速度が高いコースではアンダーウイングが発生させるダウンフォース量は大きく、その結果、前後のウイングは非常に小さなものが使用されています。
2018シーズンから使用されるユニバーサルエアロキットはアンダーウイングが発生するダウンフォースを前後のウイングから得られる量より大きなものにして後方乱気流を防ぐことが目的とされています。
インディカーレースで言うタービュランスとはこの後方乱気流(ウェイクタービュランス)のことで、インディカーのウイングも飛行機同様にこのようなウェイクタービュランスを発生させます。
この車体後方に発生するウェイクタービュランスが後続のレースカーの空力バランスを乱し、オーバーテイクを難しくしているということです。
そこで、アンダーウイングでより大きなダウンフォースを発生させれば、タービュランスの発生を減少させるとともに、タービュランスの中でも大きなダウンフォースが得られるようになるというわけです。
インディカーはオーバルを走るという点で求められる要素が大きく違います。