今後の事故対策に関する皆様のご意見ご提案にお答えします


「今回の34台出走は多すぎた」
お答え:
仮に28台の出走であっても、あの密集状態では同じ結果になっていたと思われます。
巻き込まれる車両が多少減るくらいでしょう。その前のケンタッキーでは29台の出走でした。
5台の差が決定的な違いになるとは思いません。

「オーバルレースをやめるべきだ」
お答え:
インディ100年の歴史は止まりません。オーバルレースはインディカーの存在そのものなのです。

「ハイバンクはやめるべきだ」
お答え:
テキサスモータースピードウェイは24度バンク角度があります。しかし、テキサスでのレースは実に楽しいものです。

「飛ばない構造にするべきだ」
お答え:
旅客機の離陸速度は時速270キロほどです。今回の平均速度は時速360キロです。飛ばない構造にするのは不可能ですが、飛びにくくすることはできます。
来年デビューの新型シャシーは後輪がカウリングで覆われるようになり、追突されても後続車が飛び上がらないように工夫されています。
しかし、これでも100%と言うわけではないと思います。

「コクピットをキャノピーなどで覆うべきだ」
お答え:
今回の事故でウェルドンはフェンスの支柱に頭部が激突して命を落としました。
あの速度ではキャノピーでも頭部は守れないでしょう。さらに横転した場合はキャノピーは救助の障害になります。
激しく衝突したあとに、何回転かして横転して止まった場合は、ある程度キャノピーが損傷したり、ずれたりする状況も発生する可能性もあり、そこで火災が発生した場合はドライバーは自力で脱出できません。

インディ500では細かいほこり、砂、オイル類などが常にヘルメットーシールドに高速であたります。視界確保のためにテアオフ(捨てバイザー)を10枚も張ったりします。

また、レースカーのノーズ部分やヘルメットのおでこの部分はサンドプラスト効果で塗装がはげるほどです。このことからもキャノピーはドライバーの視界を簡単に奪うことになります。

「キャッチフェンスをやめるべきだ」
お答え:
まず観客の視界を奪うことはできません。クリアな樹脂製のものなどに交換した場合はレースカーがフェンスを駆け上がってしまい、状況によってはもっとひどい結果を生むことになりかねません。キャッチフェンスは観客の命を守る「最後の砦」なのです。

結論、
改善策はシンプルです。
今後はラスベガスでのレースは平均時速をもう10マイルほど下げることです。2012年からはターボのブースト圧の調整で容易にコントロールできるようになるでしょう。

今回は1回目のプラクティスから時速224マイルを越えていました。近年ではインディアナポリス以外では見ない数字です。単独走行の予選でも時速222マイル超。レース中は一部の車は時速225マイルを超えていました。

インディカーにとってオーバルトラックでは時速220マイルはひとつの壁です。平均時速220マイルを超えると、速度に対するドライバーのコメントが増えます。

テキサスやシカゴランドの他のハイバンクオーバルでも、せいぜい時速215マイル前後です。

今回はこの速度域に加えてスムーズで回転半径のゆるいハイバンクコーナーは1周にわたっての3ワイドでの接近走行を可能にしてしまいました。これがもう10マイルほど速度が低ければエラーへのマージンはだいぶ大きくなっていた可能性がありす。

以上、あくまでも私の持論です。

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