先のフェニックス戦でプラクティスセッションにクラッシュした佐藤琢磨選手が記録した衝撃Gは78Gでした。これはレースカーに設置されたGセンサーが記録したもので、ドライバー自体が受けた衝撃Gは78Gよりだいぶ小さいものになっていたはずです。
ドライバーの体が受けた衝撃Gは無線のイアフォンの中に内蔵されています。
イヤピースセンサーは3方向の加速度を感知し、クラッシュ時にはリアルタイムでドクターカーにデータが送信され、その数値は脳が受けた衝撃Gと判断されます。
一方でF1オーストラリアGPでレース中にクラッシュしたフェルナンド・アロンソが受けた衝撃Gは46Gだったと報道されています。この数値がどこで記録されたものかはわかりませんが、アロンソのレースカーのカーボンファイバー製のシートは衝撃によって肩の高さあたりが破損し、アロンソ自身はろっ骨などの骨折で2レース欠場となっています。
F1のシートがどのようなものなのか詳細を知らないので解説は他にお任せしますが、78Gの衝撃を受けてもドライバーが翌日のレースを走ることができたインディカーの安全性の高さは際立ちます。
こちらが琢磨選手のインディカーのシート。
ググって出てくるF1シートよりもかなり厚みがあります。発泡スチロール製でヘルメットのインナーのように衝撃を吸収します。
細かなビーズが詰まった袋を敷いて、その上にドライバーが座り、ドライバーの型をとって固めて成形します。保険込みで30万円超とお高いですが、そのぶん安全性もお高いです。
そのシートが設置されるシャシー側は数インチの衝撃吸収フォームが敷き詰められて、こちらでも衝撃を吸収するようになっています。さらにドライバーの足の入る上側にも衝撃吸収フォームが装着されています。レースカーが後ろからウォールに衝突すると必ず足が跳ね上げられてぶつかるからです。
さらに、ドライバーの頭の周りにはヘッドプロテクターとサポートクッションが装着されて頭部への衝撃を吸収するようになっています。
(写真手前両側)
シーズンは最低でも着座位置が低いオーバル用と着座位置が高いロードコース用の2種類のシートを制作します。